10年ほど前、鹿児島大学病院の脳神経内科に入局、主に神経難病(パーキンソン病、ALS)など長期的な治療が必要な患者を診てきました。病状が進行すると通院できない患者もおり、「先生が家を訪問してくれたらな」という声も聞きました。そういう患者に寄り添いたいと思い、2023年10月に在宅療養支援クリニックを開院。通院困難な方で神経難病、末期がんの患者を診ています。
理念は「患者様、ご家族のお考え、お気持ち、人生観を大切にします」「『最期まで自分らしく生きる』を支えられるように、患者様の身体的な苦痛を取り除くだけでなく、精神的・社会的活動を含めてサポートしていきます」。患者ご自身が自宅や施設で日常を穏やかに過ごしてもらえるようにお手伝いをしています。お看取りは年間50件ほど行っています。穏やかに最期を迎えたい方の想いにこれからも応えていきたいと思っています。
患者はご自宅、施設合わせて180人ほど。急性期・回復期病院などからの紹介が多く、重症度の高い方には訪問看護師、ケアマネジャー、訪問リハビリテーションスタッフなど多職種で介入しており、コミュニケーションツールを活用しながら密に連絡をとっています。
医師と看護師の2人で1日約10件訪問。身体診察を行い、食事や睡眠がしっかりとれているかなど、患者や家族と話をします。高血圧症や糖尿病を有している患者も多く、1~3カ月に1度は採血検査もします。定期処方も行います。診療エリアは、北は吉野や伊敷、南は平川、西は春山まで。定期診療は月に1~2回、発熱など急な往診対応は適宜行っています。
在宅医療では高度な医療を提供することは困難です。レントゲン検査など病気の把握には画像検査が必要な患者もいます。在宅だけで医療を完結することはできず、急性期や回復期、慢性期の病院があってこそ成り立ちます。地域医療の一端を担うことを自覚しており、ご紹介があった場合には臨機応変に対応できるように職員一同心掛けていますし、双方向性の関係でありたいと考えています。
在宅でどういう医療を受けられるかイメージがわかないという声を多く聞きます。私たちは定期診療に入る前に、こういった医療は提供できる、こういう治療や検査はできないとしっかり説明します。結果として病院の外来通院を選ばれることもあります。在宅医療は特別なものではなく、医療の選択肢が一つ増えたと思ってもらえたらありがたいです。
在宅医療で医師1人が診察できる患者は多くて200人程度と考えています。当初の想定より早く患者が増えており、今後は常勤・非常勤医師を増やすか、訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所を持つなど可能性を探っています。
現在は非常勤を含め医師2人、看護師2人、医療事務3人です。在宅療養支援クリニックでは月1~2回の定期診療が主であるため、スケジュールはある程度固定しており、オンオフはしっかりしています。残業も少なく働きやすい環境だと思います。ただ、患者数の増加に伴い急な往診対応もあり、現状を考えるともう1人常勤看護師がいた方がいいと思っていますので現在募集しております。ご興味のある方は当院ホームページをご参照ください。