
とろける甘さでとりこになる人続出中の大崎町のマンゴー「はこいり娘」
とろける食感に濃厚な甘さ。マンゴーは本格的な夏の訪れを告げる味覚だ。しかし、水やりに温度管理と、収穫を迎えるまで、とにかく手間がかかる。箱入り娘のようだ。
ただ、大崎町・安田農園のマンゴーは箱入りならぬ、鉢植え栽培。その名も「はちいり娘」だ。

直径60cmの鉢に植えられたマンゴー。安田農園では500鉢ほどを管理
マンゴー農家の多くが地植えで栽培する。農園の安田弘毅さんによると、鉢植えすることで、より糖度の高いマンゴーに仕上がる。根の成長が抑えられ、水分量が限られるためだ。
6月中旬、農園を訪ねると、果実は深紅に色づいていた。収穫の始まったハウスでは、ほとんどが糖度20度近くを記録した。「より良いものを作ろうと1年がかり。おいしいと言われるのが一番うれしい」と目を細める。

農園のマンゴーは深みのある赤色。収穫シーズンが始まると、何度もハウス内をチェックして回る
実がネットに落ちたら収穫の合図。子どもの成長を見守るような目で、丁寧にハウス中を見て回る。ピーク時には1日900個収穫したこともあるそうだ。
マンゴー栽培は25年ほど前から。父・静男さんは、根域制限栽培でメロンなどを生産していたが、一念発起して転換した。5年が過ぎた頃、宮崎産マンゴーを皮切りにブームが到来。当時では珍しい、SNSでのファンづくりにも力を入れた。安田さんは「応援が力になった。顔は見えないけれども、支えてくれる人たちの存在がありがたい」

糖度20度のマンゴー。糖度は一つ一つ機械に載せて測る。測り終えたら、糖度ごとにシールを貼る
マンゴーとして世に出ているもののほとんどが「アップルマンゴー」と呼ばれる品種。おいしさを追求しようと、安田さんは複数の品種を栽培している。

ハウスは手作り!改良を重ねた
栽培を始めて25年が過ぎても、探求心は尽きない。「まだまだ糖度を上げる努力を」。この燃え上がる情熱が、人々をとりこにする濃厚な甘みにつながっている。

贈答用として箱に入った「はちいり娘」
安田農園のマンゴーは全て直売。インターネットのほか、この「安田農園ふれあい市場」で販売する。贈答用のほか、手頃な家庭用まで扱う。

店舗はセントロランド 道の駅アスパル大崎近く。国道220号沿いの赤い「マンゴー」ののぼりが目印