JR鹿児島駅前 周辺整備終わったのに渋滞解消されず 複雑な道路体系、財政難…抜本解決は困難?

2022/08/08 12:32
帰宅時間帯に混み合う和泉屋町踏切前の道路=鹿児島市上本町
帰宅時間帯に混み合う和泉屋町踏切前の道路=鹿児島市上本町
 JR鹿児島駅(鹿児島市浜町)の周辺整備が3月に終わった後も駅前の渋滞が解消されていないとの声が、南日本新聞の「こちら373」に寄せられた。市の担当者に話を聞くと「長年の懸案事項」との認識はあるが、抜本的な解決方法は打ち出せていない。

 仕事帰りの車などが一気に増える平日の午後5時半過ぎ。鹿児島駅構内の和泉屋町踏切に向かう市道中央通線は、市街地側から磯方面に向かう車や巡回バスが次々に流れ込む。2車線が踏切前で1車線に狭まるため、遮断機が下りるとすぐに車の列が延びる。

 桜島フェリー方面の県道鹿児島停車場線から右折合流する車両も多い。車間は前後、左右とも狭く、止まっている車の合間を抜けて駅に向かう通行人もいた。近くに住む50代女性は「譲り合いの気持ちが大切なのだろうけど、夕方は危なすぎて車で走らないようにしている」と話した。

 踏切の一帯は夕方の時間帯、吉野や上町、姶良方面に向かう国道10号への抜け道として利用者が多い。踏切に加え、駅前ロータリーや市電軌道敷、県道も交差する複雑な道路体系が渋滞に拍車をかける。

 市が2010年に実施した交通量調査によると、ピーク時の平日午後5~6時に市道中央通線から踏切を抜け、市道上本町磯線に向かう車は600台。このうち桜島フェリー方面から右折して市道中央通線に入った車は403台に上った。

 道路管理者の市は09~21年度、鹿駅周辺での都市拠点総合整備事業を実施。事業を前に渋滞対策は「長年の懸案」として、和泉屋町踏切をはじめ周辺地区の連続立体交差整備も視野に関係機関と協議した。だが、県から厳しい財政事情やJR貨物用地の移転の必要性を理由に困難との報告があり断念したという。

 県道からの右折車を制限するため、新たな信号機設置も検討したが、実施には至らなかった。周辺では、祇園之洲町を通り吉野町花倉-小川町を結ぶ国道10号鹿児島北バイパス(5.3キロ)の建設が進む。市道路建設課の浜平浩己課長は「現時点で渋滞の抜本的な解決は難しい。北バイパスの完成で交通量の分散に期待するしかない」と話すが、開通の見通しは立っていない。

 県警によると、2021年に発生した和泉屋町踏切から桜島桟橋通電停交差点までの事故は物損13件。ほとんどが車同士の接触などの事故で、主に前方や左右の安全不確認が原因だ。交通規制を担う立場として周辺の信号機の運用見直しは常に実施しているが、「現在のところ渋滞の解消は難しい」としている。
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