23年はエネルギー価格高騰で原発容認が増えたが…一転、脱原発派が増加 能登半島地震で福島事故を想起か 南日本新聞など地方20紙が合同アンケ

2024/03/10 20:31
 南日本新聞「こちら373」など読者とつながる報道に取り組む全国20の地方紙による2024年の合同アンケートで、今後の原発政策のあり方について聞いた。選択肢は21~23年の3年間と同じ。23年までは物価高などを背景に原発活用を容認する回答が増えていたが、減少に転じた。東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出後、福島県産品を購入することについて聞くと「気にしない」との声が半数を超えた。

 アンケートは東日本大震災10年を機に始めた協働企画「#311jp」の一環。多様な声を聞き取るのが目的で、無作為抽出で民意を把握する世論調査とは異なる。

 24年は「積極的に廃炉とし、脱原発を急ぐべきだ」が最多の31.6%で、「すぐにでも全国的に廃炉とすべきだ」を加えた「脱原発」層は計44.1%。一方、「運転延長は控え、基数を減らしながら活用」を含む原発活用を容認する回答は計48.0%だった。23年のアンケート結果と比較すると、脱原発は8.4ポイント増え、容認は8.6ポイント減った。

 23年はロシアのウクライナ侵攻などに伴うエネルギー価格の高騰を背景に、原発容認が増加した。24年は1月に能登半島地震が発生。今回のアンケートでは福島第1原発事故を想起したという声が少なくなく、脱原発の意見が増えた一因とみられる。

 「分からない」はこれまでで最多の7.9%。原発を取り巻く環境がめまぐるしく変化し、活用の是非について結論を出しづらくなっている傾向もにじんだ。

 昨夏に始まった福島第1原発の処理水の海洋放出に関連し、福島県産品の購入についても質問した。「あまり気にならない」「全く気にならない」の合計が51.2%で半数を超え、「とても気になる」「少し気になる」を合わせた33.5%を上回った。ただ、地元福島県では「気にならない」の合計が69.0%に達した一方、福岡県では44.8%にとどまるなど地域差がみられた。

 鹿児島県からの回答は188件。九州電力川内原発(薩摩川内市)の運転延長についての安全性に「不安がある」と答えたのは69.1%に上った。「大きな地震や津波、テロが起きる可能性がある」「避難計画が心配」と複合災害を懸念する声が目立った。

 「不安がない」は10.6%にとどまり、理由は「原子力規制委員会が認可した」が最も多かった。14.8%が「分からない」と回答した。

 アンケートは各紙が2月、LINEや紙面などで呼びかけ、47都道府県と海外から計4681件の回答があった。
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