三重岳(写真中央)を背にする南方小学校=鹿児島市
2022年で創立130周年を迎える鹿児島市川田町の南方小学校は、甲突川の支流・川田川流域の農業地帯に囲まれる。児童は、長い歴史と豊かな自然を肌で感じながら、いきいきと学校生活を送っている。
校歌は1956年3月制定。作詞と作曲は、県内の校歌を多数手掛けた浜田盛秀、西勇恕〔ゆうじょ〕両氏がそれぞれ担当した。
一番の「若木のみどり 三重が岳」は、北東に位置する標高486メートルの「三重岳〔みえだけ〕」を指す。山頂から桜島を望むことができ、10年ほど前までは学校行事で年に一度、全校児童が登山していた。現在は南方まちづくり協議会が主催し行う。二番に歌われた「庭のいちょう」は学校のシンボル的存在だ。校庭に計5本あり、高さはいずれも10メートル以上。毎年11月に下で紅葉を楽しみながら給食を食べる「いちょう給食」は、記録が残る95年から続く恒例行事となっている。
松尾和友校長は「自然の風景と子どもたちが学ぶ姿を重ね、愛校心や郷愁をかき立てるすばらしい校歌」と話す。
校訓は「至誠一貫 喜び勇んでことをなし 最後までがんばる もてる力あり その力こそ 伸ばさんものぞ 南方」。「県内公立校でも珍しく長い」(松尾校長)文言は、1920年にできた原型へ言葉を足した。79年から「南方魂」と呼ばれ親しまれる。
6年の大渕脇碧己〔あいき〕君と冨田麻薫〔あさか〕さんは「みんな明るくて元気。仲が良くてチームワークもいい」と胸を張る。松尾校長は「校歌や南方魂を受け継ぎ、夢や目標に向かって努力し続けてほしい」と願った。
●メモ 「東俣簡易科小学校」と「厚地簡易科小学校」が1892年に合併し「南方尋常小学校」として開校。1947年に現校名へ改名した。週1回15分と月1回45分「作文タイム」を設けている。1997年から取り組む創作太鼓「南方竹太鼓」も盛んだ。生徒数58人(2022年7月1日時点)。
(南日本新聞2022年8月1日付)