出水市立鶴荘学園|ツルの里、子どもたちは世界へ羽ばたく

2024/04/08 10:00
ツルの羽数調査の練習に励む生徒たち=出水市荘
ツルの羽数調査の練習に励む生徒たち=出水市荘
 2017年に荘〔しょう〕小学校と荘中学校が統合し誕生した出水市の義務教育学校・鶴荘〔かくしょう〕学園は、生徒が越冬のためシベリアから飛来するツルの羽数調査に60年以上励む。校歌には地元の風景やツルに関する言葉が並ぶ。

 当初は愛唱歌としてスタートした。元の小中学校の校歌を残したかったからだ。作ったのは16年度の荘中生徒や職員。当時校長だった中尾孝さん(63)は「小中の校歌の素晴らしい詞を生かしながら、加えたい言葉を募った」と振り返る。

 1番は〈出水平野〉〈天満宮〉と荘の風景、2番は〈不知火海の彼方より 万羽の鶴の来るところ〉とツルの飛来、3番は〈世界を目指し飛び立とう〉とツルの北帰行を表現。それらを前半に、後半には子どもたちがツルのように世界へ羽ばたいて-との願いを込めたという。

 曲は音楽の赤石悠香教諭(33)=現亀津中=が恩師の石田匡志・鹿児島大学教育学部准教授(44)に助言をもらい作った。荘小校歌に多かった弾むようなリズムを序盤に多く用い、児童も元気よく歌えるようにした。中盤は音の高さを低くして、終盤で盛り上がるよう工夫。「児童生徒が一生懸命歌っているのを見て、作ってよかったと感動した」

 開校後は元の校歌を歌う機会がなく、愛唱歌が翌18年、校歌になった。同校ツルクラブ部長の七社日和〔しちしゃ・ひより〕さん(9年)は6年半以上親しみ「愛着がある。飛び立とう、と歌う3番が好き」と声を弾ませた。

 ●メモ 創立138年の荘小学校と創立70年の荘中学校が統合し2017年4月、小中一貫の義務教育学校として開校した。独自教科に、校区内に飛来するツルについて学ぶ「ツル科」を設置。在校生は92人(うち特認生42人)。校訓の向学、友愛、克己を校歌に盛り込む。

(南日本新聞2023年11月20日付)

校歌の風景

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