自主・好学・向上の校訓が根付く指宿高校
指宿市の中心地区に位置する普通科進学校で、校歌は1953(昭和28)年に制定された。校章にあしらわれた「柏葉」は歌にも盛り込まれ、共に学び高め合う「柏葉の精神」として受け継がれている。
1~3番の歌詞で、それぞれ自主・好学・向上の校訓をうたっているのが特徴だ。作詞は鹿児島大学や志學館大学の名誉教授で、国語研究で知られる伊牟田經久さん。大学教員になる前、指宿高の教壇に立っていた時期があり、校長から「校訓を入れて作詞を」と頼まれ詩想を練ったという。
三つの校訓は正門付近や掲揚台、記念碑などあちこちに掲げられ、学びの場に根付いている。総合的な探求の時間「柏葉ACTIVA」では、社会や地域課題のうち、生徒自らが関心のあるテーマを選んで解決を目指す。授業は週1コマだが、多くの班が放課後や休日も積極的に取り組む。
昨年度は戦争や農業、医療問題など、17のテーマで活動。近隣の小学校に呼びかけ、発展途上国の子どもに靴を贈った3年の井上萌恵さんは「自分たちに今、何ができるかを考えた。失敗もあったが成長につながる経験になった」と振り返った。
●メモ 1922(大正11)年に旧制指宿中、26年に指宿高等女学校が開校。48年の学制改革で指宿高校第一部、同第二部となった後、併合した。家庭科や工芸科、工業化学科があったが廃止され、現在は普通科のみ。1学年3クラス。2019年に制服を一新した。
■鹿児島県立指宿高校 校歌
作詞・伊牟田經久
作曲・迫新一郎
一
樟の芽ぶきの香ぐはしく
花永久(とこしえ)に咲にほふ
ここ指宿の岡の上(え)に
陽光燦と輝けり
新たなる歴史を 今ぞ築かん我等
掲げしはこれ自主の旗
二
希望(のぞみ)あふるる若人が
堅く結びし友垣に
炎のごとく燃えさかる
若き生命(いのち)は満ち満てり
不滅なる真理を 今ぞ求めん我等
集ひしはこれ好学の友
三
鸞凰(らんぽう)宿す孤高の木
その柏葉を象徴(しるし)とし
嵐はげしくすさぶとも
正しく直く毅然たり
久遠なる理想を 今ぞ目指さん我等
踏みゆくはこれ向上の道
(南日本新聞2024年5月20日付)