鹿児島市立春山小学校|校区の情景を盛り込んだ詞と弾むようなメロディー

2024/06/03 05:00
歌詞にも登場する春山町桟敷原にある春山小学校
歌詞にも登場する春山町桟敷原にある春山小学校
 鹿児島市の春山小学校は、旧松元町南東部の台地、春山町桟敷原に位置する。現校歌は1954年に制定された。作詞は47年4月~54年3月に校長を務めた沖元恕さん。校区の情景を盛り込んだ歌詞に、弾むようなメロディーが印象的だ。

 卒業生の児島照文さん(84)は、制定前の47年に入学。すでに現在の校歌を歌っていたという。「正式に校歌として定められる前から歌はできていたのだろう」と振り返る。

 制定当時、校舎は現在の場所から約1キロ南にある標高258メートルの小高い山、「上山岡」のふもとにあった。児島さんによると、周りに人家は少なく、茶畑や桑畑が広がり、遠く東側には桜島も望めた。

 「学校から見える風景にぴったりの歌詞だった。上山岡に登って、絵を描いたこともあった」と懐かしむ。児童数が増え校庭が手狭になったことなどから64年、現在の場所へ移転した。

 近年は茶畑が住宅地に姿を変え、約10年で児童数は130人ほど増えた。北洋昭校長(56)は「地域を大切に思う気持ちが伝わってくる校歌。子どもたちがのびのびと健やかに育ち、春山を好きになってくれたら」と願う。

 ●メモ 1871年に伊集院第35郷校の分校として設立、3年前に創立150周年を迎えた。全学年が行う茶摘み体験は恒例行事だが今年は中止した。地域と連携しながら、サツマイモやソバなども各学年で育てている。児童数は520人(2024年5月時点)。

■鹿児島市立春山小学校 校歌
作詞・沖元恕 
作曲・武田恵喜秀


朝(あした)に仰ぐ桜島
燃ゆる力をたたえつつ
正しく強く朗らかに
いそしむ吾等光あり


夕(ゆうべ)に望む桟敷原(さしきばる)
広き心をはぐくみつ
ゆたけくさとくあたたかに
つとむる吾等望みあり


上山岡(うえやまおか)のいや高く
はるけき伝統(つたえ)かがやかし
理想の旗をかざしつつ
共に進まん手をとりて

(南日本新聞2024年6月3日付)

校歌の風景

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