背後に冠岳がそびえる生冠中学校
校区内にそびえる霊峰・冠岳を表した<紫の 山連はるか>から始まる。西岳、中岳、東岳が連なり、最も高い西岳の標高は516メートル。校章には、朝日に映える姿があしらわれる。
古代山岳仏教、真言密教の地として知られ、秦の始皇帝の命を受けた方士・徐福が仙薬を求めて訪れた伝説も残る。
現在は登山や紅葉見物で市内外から多くの人々が訪れる。2番でも<そそりたつ 冠嶽の峰>と歌われる。卒業生で、生福地区まちづくり協議会長の井手迫琢磨さん(67)は「地元にとって特別な存在。2回出てくるのも納得」とうなずく。遠足や初日の出を見に登ったと懐かしむ。
歌は1953年に制定。作詞の冨宿三善氏は串木野女子高校(現神村学園)の校長を務め、郷土史編さんにも携わった。
<水も美わし>は校区を流れる五反田川とみられ、周辺には水田が作られた。子どもの多くは泳いだり、釣りをしたりして遊んだ。サツマイモ栽培も盛んだったという。学校再編に伴い2025年度末で閉校となる予定。井手迫さんは「寂しいが、思い出とともに心の中で大切にしたい」と話した。
●メモ 1947年、串木野町立第三中学校として開校。校区は市の北東部に位置し、生福、冠岳両地区を由来とする現校名には49年改称した。ピーク時の1960年代には約300人の生徒がいたが、現在は38人(5月1日時点)。校訓は「強く 正しく 美しく」。
■いちき串木野市立生冠中学校 校歌
作詞・冨宿三善
作曲・渉 秀豊
一
紫の 山連(やまなみ)はるか
水も美わし
山幸の花 野にかおり
学び舎のいらか 輝く
ああ 生冠の礎かたし
永久に 栄光あれ
二
そそりたつ 冠嶽(かんがく)の峰
仰ぐ朝(あした)は
自治の教えの 身にしみて
その上の歴史は はるか
おお 豊かなる文化きずかん
永久に 栄光あれ
三
吹き荒ぶ 火立ちおろしに
鍛えたる
健康の色 冴え冴えと
日本の基(もとい)は 強し
いざ独立の炬火(ひ)はもえ出たり
永久に 栄光あれ
(南日本新聞6月18日付)