シンボルのセンダンの周囲で遊ぶ児童たち=長島町の城川内小学校
青い空、白い雲、広い海-。1958(昭和33)年、音楽教育で知られる玉川大学(東京都)に依頼したという校歌は、弾むようなメロディーにのせて、豊かな自然や希望を歌い上げる。歌詞にある堂崎鼻には中世の城跡があり、春ケ丘は現在、風力発電の巨大な風車が立ち並んでいる。
創立は1870(明治3)年とあって、校内の至る所に“歴史の生き証人”が点在する。校長室には戦前から令和までの卒業写真が並び、校舎前のソテツの木は、樹齢400年を超す。地元の武士が琉球侵攻(1609年)から持ち帰ったものだとされている。
中でも圧倒的な存在感を放つのが、校庭の真ん中に立つセンダンの木。高さ20メートル、幹回り5.3メートル、枝幅は25メートルにもなる。子どもたちは、大きな木陰に集まって、ボール遊びや縄跳びを楽しんでいる。樹齢は定かでなく、明治後半には現在地に立っていたらしい。
「センダンの周りで遊んだり走ったり。運動会やソフトボールの練習もした」。卒業生の石橋建治さん(76)にとって一番の思い出は、木陰で仲間と過ごした時間。校歌にある青い海の眺めも、心に刻まれている。
●メモ 郷校・明倫館分館として現在地近くの伊勢神社に創設され、1947(昭和22)年に城川内小学校となった。校区は長島の西南部で、周辺には堂崎城跡や指江古墳群といった史跡もある。2018年に旧汐見小と統合した。全校児童は70人。
■長島町立城川内小学校
作詞・田中末広
作曲・迫新一郎
一
青い空よ
堂崎鼻に陽はさして
緑すがしい丘の上
胸おどらせて集まって
今日も楽しく
うとう うとう声をそろえて
二
白い雲よ
光あふれる学舎に
心を込めて春ケ丘
体きたえてすこやかに
今日もみんなで
学ぶ 学ぶ力合わせて
三
広い海よ
優しく強く育ちつつ
波のむこうの遠くまで
村の文化をかかげよう
世界に伸びる
希望 希望明るい希望
我等の誇り 城川内小学校