周囲を自然に囲まれた小山田小学校=鹿児島市小山田町
鹿児島市の小山田小学校は、甲突川上流に広がる自然豊かな里山の中にある。校歌が制定されたのは1928(昭和3)年。沿革には「10月1日」と日付まで記録されている。
1~3番まで<楽し学舎 小山田校>で締めくくる。野元忠久校長(60)は「3度も同じ歌詞を繰り返すのは珍しい。目指すべき学校の姿を強調しているのだろう」と話す。
作詞は片山久、作曲は前田久八。前田は現・東京芸大の教授だったが、23年の関東大震災で家と職を失い、つてを頼って鹿児島に来ていたとされる。
「漢字や言い回しが難しく、覚えるのに一苦労だった」と振り返るのは卒業生の福永光明さん(73)。ただ、大人になると<光輝><力五体にみなぎりて>といった歌詞に背中を押されることが多かったという。93年の8・6水害では学校周辺が被害を受けたが、住民が炊き出しや片付けを協力し合った。「みんな小山田で育ったという一体感があった」と振り返る。
6年生の大脇愛琉(あいる)さんは<強く正しく美(うる)わしく>の歌詞がお気に入り。「心がけたいと、いつも考えながら歌っている」と語った。
●メモ 1892(明治25)年、小山田尋常小学校として開校。校訓は「汗と涙」。校章は小山田の文字を稲穂で囲み、周辺の田園風景を表現する。校内には地元住民から集めた民具を展示する「ふるさとの館」がある。児童数は54人(2024年7月時点)。
■鹿児島市立小山田小学校 校歌
作詞・片山 久
作曲・前田久八
一
澄みて流るる甲突の
水と清さを競いつつ
高き理想を輝かし
強く正しく美わしく
心の鏡いや磨く
楽し学舎 小山田校
二
姿雄々しき桜島
遥かに望む校庭に
手足を鍛え伸ばす時
力五体にみなぎりて
吾等の意気やいや高し
楽し学舎 小山田校
三
いざや吾が友手をとりて
いそしみ励まん諸共に
希望吾等の窓に燃え
光輝吾等の門に映ゆ
いでや不断の努力せん
楽し学舎 小山田校