玄関前にシンボルのクロガネモチ「なかよしの木」が立つ=鹿児島市
鹿児島市唯一の小中併設校、錫山小中学校は豊かな緑に囲まれた標高360メートルの山間部に立つ。地名の通り江戸期に発見されたスズ鉱床の採掘で栄えた。南薩縦貫道などが整備されたが、歌詞<山なみ清く ほのぼのと>のような景色が、変わらず広がっている。
校歌制定は1952年。県内多くの学校に足跡を残す、簑手重則さんと西勇恕さんの名コンビが手がけた。立神山や美濃岳など地域の自然を歌い上げる。
小中併設校は同じ校歌である場合が多いが、錫山の場合、中学の歌詞が一部異なる。小学校の1番<なかよしこよし きょうもまた>に対し、中学校は<自主の心を ひとすじに>。中学1年、町田陽菜多さんは「小学生の歌声につられることがある」と笑う。
いつ、だれが詞を変えたのか。経緯は不明だが、中学校の歌詞は93年度学校要覧から記載されている。
地域密着の小規模校で、住民が校歌に触れる機会も多い。長年地元で暮らす山崎和子さん(93)は「子どもたちの歌を聴いて自然と覚えた」と口ずさむ。藤崎リエ子さん(80)は「錫山の景色や懐かしい始業の鐘も詞に出てくる。本当にいい歌」。
●メモ 1879(明治12)年、錫山総会所を校舎に小学校が開校。1947年に錫山小学校と改称、中学校も旧谷山町の第二中学校錫山分校として開校。56年に小中併設となった。特認校でもあり、児童生徒は計28人。市内の学校で最古のセンダンの木が立つ。
■鹿児島市立錫山小中学校 校歌
作詞・簑手 重則
作曲・西 勇恕
※()内は中学校の歌詞
一
山なみ清く ほのぼのと
みどりの風は 朝をよぶ
なかよし こよし きょうもまた
(自主の心を ひとすじに)
正しく学ぼう 鐘が鳴る
ああ 鐘が鳴る 錫山校
二
立神山よ うぶすなの
心を結び 手をとって
なかよし こよし ほがらかに
(優愛共に うるわしく)
明るく進もう 歌が湧く
ああ 歌が湧く 錫山校
三
理想も高く 美濃岳の
かがやく雲に こだまして
なかよし こよし 元気よく
(英知を磨き たくましく)
大きく生きよう 夢がよぶ
ああ 夢がよぶ 錫山校