鹿児島県立志布志高校|ゆっくりとした旋律、格調高い歌詞

2024/11/19 05:00
志布志高校の正門=志布志市志布志町安楽
志布志高校の正門=志布志市志布志町安楽
 志布志湾に面し、白砂青松の地に立つ志布志高校。かつては爽やかな浜風が松林から校内へ吹き抜けた。

 ゆったりとした旋律で格調高い校歌が誕生したのは、新制高校発足から7年後の1955(昭和30)年。当時の学校新聞は「待望の校歌、制定さる」として紹介する。詞は54年に亡くなった同校国語教諭、木佐貫直人氏の遺稿。生前書き残した詞に、郷土音楽界をけん引したピアニスト、武田恵喜秀氏が曲をつけた。

 詞に志布志高の文字はなく、大隅の地名が1カ所だけ。立和名猛教頭は「限界なく人生の航海に出ようとメッセージを込めたのでは」と三番に注目する。

 原曲は八分の六拍子。伴奏、前奏なしは珍しい。行進曲のような多くの校歌と異なるゆったりした曲調。卒業生の3年担任、向段武志教諭は「高校時代と赴任後で印象が違い驚いた」。90周年と100周年の音源では、変ホ長調からハ長調に変わっている。音楽の小林由布子教諭は「歌いやすくアレンジしたのかも。曲の懐が深いことの表れ」。

 いつの世も志を胸に挑む若者を優しく鼓舞する詞と、変化を柔軟に受け入れる曲は末永く歌い継がれていくだろう。

●メモ 1909(明治42)年、県内6番目、大隅半島初の旧制中学校・志布志中が開校。戦後の学制改革により48年、志布志高校が誕生した。全校生徒257人(11月1日現在)。校訓「叡 志 剛」、教育指針「Create Your Future」。

■志布志高校 校歌
作詞 木佐貫直人
作曲 武田恵喜秀


人ありぬその上の大隅の地に
土拓き学びせし文化の遺蹟
伝統を世々に伝へて
我が庭の集ひは成りぬ
新しき心の糧を
新しきままに加へむ


空晴れぬ一碧のくもりなき身に
技競ひ頌ふるは力のいづみ
友垣に光は溢れ
みんなみの息吹も薫る
ひたむきの若人の血を
ひたむきのままに歌はむ


風吹きぬ老松のとよもす下に
瞳あげて見はるかす船路の行手
黒潮は四海をめぐり
同胞に幸も豊けし
きはみなき生命の旅路
きはみなきままに帆あげむ

校歌の風景

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