鹿児島県立楠隼中高一貫教育校|詞・谷川俊太郎、曲・下野竜也の豪華な顔ぶれ

2024/11/26 05:00
楠隼中学・高校の校舎=肝付町前田
楠隼中学・高校の校舎=肝付町前田
 歌詞は先日亡くなった詩人の谷川俊太郎さん、作曲はNHK交響楽団正指揮者の下野竜也さん。肝付町の県立楠隼中高一貫校の校歌には豪華な顔ぶれが並ぶ。

 「楠が拡がる空へ 隼が羽ばたく彼方」で始まる詞は「志す宇宙は無限」と壮大なスケールで紡がれる。「時代の圧力に負けずに自分にひそむいのちのパワーを信じて生きて」とのメッセージが込められている。

 全国に数々の校歌を残した谷川さんは生前、その発想法について、本紙記者に「生徒たちが楽しく、心を込めて歌える歌詞を書くことを目指す。これは思いではなく、技術が問題ですね」と答えている。

 作詞を依頼したのは、初代校長を務めた池田学園池田中・高副校長の山崎巧さん(63)。谷川さんのファンだった山崎さんが粘り強く交渉し、実現にこぎ着けた。待ちに待った詞は自筆のファクスで届けられた。

 学校の目玉である宇宙学や校訓の大志・叡智(えいち)・至誠の要素がちりばめられた詞に「心が躍った」と振り返る。開校後には、人づてに「作詞家から離れた言葉は、届いた先で生きていく」とエールを送られた。

 楠隼中2年の諏訪雄一さんは「谷川さんが歌詞に込めた思いを、これからも受け継いでいきたい」。徳留敏郎校長は「歌詞のように、世界に羽ばたける大人に成長してほしい」と語った。

●メモ 2015(平成27)年、公立中高一貫校で全国初の全寮制男子校として開校。26年度から段階的に共学化、通学も可能になる。シリーズ宇宙学やトップリーダー教室など、独自の教育課程が特徴。中高合わせて310人(4月現在)。校訓「大志・叡智・至誠」。

■楠隼中高一貫教育校 校歌
作詞・谷川俊太郎
作曲・下野竜也


楠が拡がる空へ
隼が羽ばたく彼方
志す宇宙は無限
心ごころに答求めて
問いかける楠隼の日々


鹿児島の歴史に学び
明日へとことばを探る
志す叡智と至誠
平和を拓く未来夢見て
友と励む楠隼の日々


国々の境を越えて
せめぎ合い溶け合う地球
志す世界は一つ
ひとり一人の知恵を集めて
すこやかに楠隼の日々

校歌の風景

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