鹿児島市立宮川小学校|「陣ケ丘」に「海ひかる」…移転前の情景を思わす詞

2024/12/03 05:00
創立132周年を迎えた宮川小学校=鹿児島市
創立132周年を迎えた宮川小学校=鹿児島市
 「宮川」の校名は、前身の二つの小学校「宮山」「川口」に由来する。皇徳寺団地と春山町の中間に位置していたが、団地造成で児童数が急激に増え、1986(昭和61)年に現在地に移った。跡地は鹿児島市立宮川野外活動センターとなっている。

 卒業生で、移転当時のPTA会長も務めていた蕨野和春さん(80)によると、当初は団地に学校を新設する案もあったという。「『宮川』の名と校歌を残したいという地域の要望で、移転という形に決まった」と振り返る。

 校歌は1961年制定。「天使が舞いおりる」など現代的で優しい歌詞は、児童文学者の副田凱馬さんが手がけた。県内の小学校で作文教育に尽力、多くの校歌を残している。

 冒頭に登場する「陣ケ丘」は、旧宮川小の裏山だ。蕨野さんは「今は竹やぶに覆われて見えないが、昔は頂上から桜島や市街地、海まで見渡せた」と懐かしむ。「海ひかる」の言葉が当時の情景を思わせる。

 通学路や持久走大会の舞台が、陣ケ丘から団地内の遊歩道「ブルーベリーロード」に移った今も、変わらぬ校歌が児童の心を育んでいる。

●メモ 1891(明治24)年、川口、宮山の両簡易小学校が合併して宮川簡易小学校となり、翌年宮川小学校に改称した。1986(昭和61)年に皇徳寺団地に移転。90年には児童数が1427人まで増加。翌91年、団地内に皇徳寺小学校が新設され分離した。

■鹿児島市立宮川小学校 校歌
作詞・副田 凱馬
作曲・千歳 実利

一、
山波よする 陣ケ丘
朝風ひかる 海ひかる
よい子の校庭(にわ)に にっこりと
きょうも天使が 舞いおりる
ひかる 宮川小学校

二、
明るく清く 暖かく
春らんまんの さくら花
よい子は 生命(いのち)美しく
きょうも歌うぞ 高らかに
たのし 宮川小学校

三、
むらの生活(くらし)を 生い立ちを
流れて語る 永田川
よい子は仲良く 肩を組み
きょうも学びの 道をゆく
ゆくぞ 宮川小学校

校歌の風景

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