鹿児島市立桜洲小学校|眼前に広がる錦江湾を歌詞に

2025/02/25 05:00
校訓の「気力」「体力」「学力」「協力」を掲げる桜洲小学校の校舎=鹿児島市の桜島小池町
校訓の「気力」「体力」「学力」「協力」を掲げる桜洲小学校の校舎=鹿児島市の桜島小池町
 桜島東岸に位置し、<かがみのごとき 錦江の>と歌い出しにある通り、目の前に鹿児島(錦江)湾が広がる。桜島横山町で開校したが、1914年1月12日の大正噴火で埋没。翌年に現在地に移った。

 いつ校歌が作られたか不明だが、卒業生の萩原貞信さん(66)が米寿の叔父に尋ねると歌を覚えていた。萩原さんは<みよの栄えと あおぎつつ>から「天皇陛下の治世を指す言葉が使われているので戦前では」と考える。作曲は県音楽界の発展に尽力した武田恵喜秀氏。作詞した横山常彦氏の情報は伝わっていない。

 もう1曲歌い継がれているのが、大噴火の日に旧校をしのんで歌う「埋没碑建立に寄せる歌」だ。<溶岩に のまれてここに 五十年>と被害を伝えている。

 2026年度には島内の小中学校が義務教育学校「桜島学校」に再編される。6年の宮元良魁(らい)さんは「卒業しても、みんなとまた遊べるのは楽しみ」。萩原蒼太さんは「跡地を活用し、何年先にも校舎が残っていたらいいな」。大重守校長(56)は「今の校歌を歌えるのも、あと少し。古里を思い浮かべられる歌詞を覚えていてほしい」と願った。

■メモ 1882(明治15)年創立。児童数は島内に4校ある小学校の中で最多の59人。1964年刊行の「大正大噴火五十周年記念作文集」によると、噴火時には900人が在籍していた。現在は地域の協力を得て、桜島大根の栽培・収穫など特色ある学びを行っている。

●鹿児島市立桜洲小学校
作詞・横山常彦
作曲・武田恵喜秀

一、
雲にそびゆる 島芙蓉
朝日ににおう けだかさを
みよの栄えと あおぎつつ
胸に希望の 火はもえて
結びもかたき 桜洲校

二、
かがみのごとき 錦江の
清き静けき 姿もて
ひとたびたてば 天をつく
海の心を 心にて
ちかいも固き 我等なり

校歌の風景

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