児童を見守る「剣の平」=姶良市平松
戦国武将・島津義弘が築いた平松城跡に建てられた学校を訪れると、敷地を囲む趣のある石垣が目に飛び込む。100年前に旧県庁から移された正門の門柱も歴史の重みを感じさせる。
校庭は山に囲まれ、特に目立つのが、西側に丸っこく突き出た「剣の平」だ。標高約220メートルで剣ノ岡ともいわれる。義弘の初陣となる合戦があった岩剣城があり、今でも曲輪(くるわ)や空堀を見ることができる。
「地域のシンボルで住民の心の支えになってきた」とは平千力(たいら・ちから)校長(59)。校歌3番に<ああ剣の平/くれゆけば/心は澄みて/おごそかに>とある。正門には「剣の平みておれ ぼくらはがんばるぞ」と記した看板を設置。教育目標に「『剣の平』に誓う、光り輝く重富の子」を掲げる。
同小OBで市観光ボランティアガイド会の高野俊明会長(76)によると、5年生は毎年、会の案内で校区内の史跡を巡り、剣の平頂上で校歌を歌うという。
校庭南側の森も歴史の薫りが漂う。戦前からミカン、茶、梅園があり、休み時間に児童が駆け回る。<みかんの花の/咲く丘に/たのしき歌や/かたらいの>と歌われる風景は今も変わらない。
■メモ 1888年、平松、脇元、触田の3小学校を合併し現在地に平松小設立。1947年、学制改革で重富小に。児童数は一時433人まで落ち込んだが、2008年から増加傾向になり2月10日現在、726人。元米大リーガー川崎宗則さんの母校。
●姶良市立重富小学校校歌
作詞・児玉 一男
作曲・武田恵喜秀
一、
のぼる朝日の 波がしら
若葉ははゆる 海の香に
希望大きく ほとはりて
学ぶわれらの うれしさよ
二、
みかんの花の 咲く丘に
たのしき歌や かたらいの
声ははるかに 大空へ
白雲のごと うかびゆく
三、
金の夕陽に かがやきて
ああ剣の平 くれゆけば
心は澄みて おごそかに
たがいにかざす ちえの火を