西之表市立安城小学校|漂着船を救助した歴史、詞に紡ぐ

2025/03/25 05:00
創立150周年を迎えた安城小学校=西之表市の同校
創立150周年を迎えた安城小学校=西之表市の同校
 西之表市街地から15キロ以上離れた南東部に位置する。<太平洋の 空晴れて>の歌い出しのように、沿岸部からは一望千里の眺めが広がる。

 1885(明治18)年、種子島南東沖で暴風に遭った米国の帆船「カシミヤ号」が、学校近くの立山海岸に漂着した。児童、教員を含む地域の住民が乗組員7人を救助し、手厚く介抱。後にクリーブランド大統領=当時=から感謝の金メダルと五千ドルが贈られた。

 西南戦争(77年)の影響で、島では初等教育の遅れが著しかったことから、贈与金は全額教育費に活用。教員の増員費などに充てられたとされる。90年、日米の架け橋となった交流を語り継ぐため、学校敷地内に紀徳碑が建てられた。

 乗組員救助が題材の「太平洋のかけはし」を著した島出身の作家・羽生操は、<映えてゆかし 紀徳の碑>と歌詞につづっている。鹿児島大学教授だった林幸光が曲をつけた。

 昨年11月に開いた創立150周年記念式典では、乗組員の漂着から帰国までを描いた劇を、児童が披露した。吉満ふくみ校長は「校歌とともに地域の歴史も長く受け継がれていってほしい」と語った。

■メモ 安城寺子屋から西之表郷校第14校と改称した1874年を創立年とし、本年度で150周年を迎えた。全校児童17人。カシミヤ号事件を契機に始まった外国との交流を続けようと、児童が手紙を空き瓶に入れて海に放つ「漂流瓶流し」の伝統行事が40年以上続く。

●西之表市立安城小学校校歌

作詞・羽生操
作曲・林幸光


太平洋の 空晴れて
風かんばし 丘の上
昇る朝日も 輝かに
高い望みに 集いつつ
吾等は学ぶ 健やけく
安城安城 おお 我が安城


気高くにおう 花の色
映えてゆかし 紀徳の碑
吾等も心 受けついで
良き師 良き友 一すじに
睦みてみがく 我が心
安城安城 おお 我が安城


今や 世紀の鐘は鳴り
清い平和の 朝ぼらけ
文化の華を かざしつつ
更に楽しい 郷土をば
やがて我等が 築くのだ
安城安城 おお 我が安城

校歌の風景

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