創立150周年を迎えた安城小学校=西之表市の同校
西之表市街地から15キロ以上離れた南東部に位置する。<太平洋の 空晴れて>の歌い出しのように、沿岸部からは一望千里の眺めが広がる。
1885(明治18)年、種子島南東沖で暴風に遭った米国の帆船「カシミヤ号」が、学校近くの立山海岸に漂着した。児童、教員を含む地域の住民が乗組員7人を救助し、手厚く介抱。後にクリーブランド大統領=当時=から感謝の金メダルと五千ドルが贈られた。
西南戦争(77年)の影響で、島では初等教育の遅れが著しかったことから、贈与金は全額教育費に活用。教員の増員費などに充てられたとされる。90年、日米の架け橋となった交流を語り継ぐため、学校敷地内に紀徳碑が建てられた。
乗組員救助が題材の「太平洋のかけはし」を著した島出身の作家・羽生操は、<映えてゆかし 紀徳の碑>と歌詞につづっている。鹿児島大学教授だった林幸光が曲をつけた。
昨年11月に開いた創立150周年記念式典では、乗組員の漂着から帰国までを描いた劇を、児童が披露した。吉満ふくみ校長は「校歌とともに地域の歴史も長く受け継がれていってほしい」と語った。
■メモ 安城寺子屋から西之表郷校第14校と改称した1874年を創立年とし、本年度で150周年を迎えた。全校児童17人。カシミヤ号事件を契機に始まった外国との交流を続けようと、児童が手紙を空き瓶に入れて海に放つ「漂流瓶流し」の伝統行事が40年以上続く。
●西之表市立安城小学校校歌
作詞・羽生操
作曲・林幸光
一
太平洋の 空晴れて
風かんばし 丘の上
昇る朝日も 輝かに
高い望みに 集いつつ
吾等は学ぶ 健やけく
安城安城 おお 我が安城
二
気高くにおう 花の色
映えてゆかし 紀徳の碑
吾等も心 受けついで
良き師 良き友 一すじに
睦みてみがく 我が心
安城安城 おお 我が安城
三
今や 世紀の鐘は鳴り
清い平和の 朝ぼらけ
文化の華を かざしつつ
更に楽しい 郷土をば
やがて我等が 築くのだ
安城安城 おお 我が安城