「天ケ平」の地に立つ西指宿中学校の校舎=指宿市新西方
指宿市の北西部、学校の周囲には緑豊かな山と畑が広がる。地元では<天ケ平>の地名で親しまれ、校歌にも1~3番全てに登場する。作詞した児童文学者の椋鳩十(本名・久保田彦穂)さんは「西指宿という言葉は入れませんでしたが、天ケ平で象徴したつもりです」と残している。
校歌は1966(昭和41)年、同校発足の翌年に制定された。歌詞には天ケ平のほか<池田の湖>や、断崖絶壁の奇岩がそびえる<鬼門平>など、校区の名所が随所に織り込まれている。校庭や周囲の土手に桜が植えられ、満開の時季には<花咲く岡の 花吹雪>という、歌い出し通りの光景が見られる。
作曲は和泊町出身の音楽家・宗鳳悦さん。OBで2期生の山澤純二さん(74)は「土地の特色を見事に表現している。60年たった今でも歌える」と絶賛する。3期生の堀孝行さん(72)も「テンポが良くて、気持ちが晴れやかになる。それまでの校歌のイメージが変わった」と振り返る。
最盛期に700人以上いた生徒は本年度40人に。2027年度には北指宿中との統合が決まっている。山澤さんたちは、寂しさはあるというが「子どもたちが生き生きと、楽しく学校生活を送ってくれたら何より」と願いを込める。
■メモ 1965(昭和40)年に今和泉、池田両中学校が統合し発足。67年に新校舎が完成するまで、生徒は別々の教場で学んだ。校訓は「礼節・向学・気魄(きはく)」で、ほかに「挨拶(あいさつ)・掃除・時間」の3本柱や「全力・真剣・本気」のキャッチフレーズもある。
●指宿市立西指宿中学校校歌
作詞 椋 鳩十
作曲 宗 鳳悦
一
花咲く岡の 花吹雪
校舎の窓に 散りかかる
花の心と 花の知恵
ここに開けと 天ケ平
集いて学ぶ ああわれら
二
またたく金の 明けの星
池田の湖(うみ)に 影うつす
天地の摂理 その調和
ここに極むと 天ケ平
集いて学ぶ ああわれら
三
鬼門平(きもんだいら)の屏風岩(びょうぶいわ)
はぜの紅葉(もみじ)が 陽(ひ)に映える
岩の体と 岩の意志
ここにきたえて 天ヶ平
集いて学ぶ ああわれら