鹿児島県立いろは中学校|映画「学校」をイメージ、学び直す思いを表現

2025/05/20 05:00
入学式で校歌を歌う生徒たち=18日、鹿児島市西谷山1丁目のいろは中学校
入学式で校歌を歌う生徒たち=18日、鹿児島市西谷山1丁目のいろは中学校
 鹿児島初の公立夜間中学の開校に合わせて制作された。4月18日にあった記念式典と入学式でお披露目され、生徒と教職員が大勢の参列者を前に合唱。歌詞を手掛けた作詞家の西世紀さん(72)=鹿児島市=と、曲を作った鹿児島作曲協会事務局長の伊地知元子さん(73)=姶良市=も駆け付けて聞き入った。

 1期生は10~80代の男女19人。西さんは、山田洋次監督が夜間中学を描いた映画「学校」のイメージを手がかりに歌詞を書き始めたという。さまざまな事情を抱えながら、学び直す決意をした生徒たちの思いを「一途(いちず)な夢の 寄せ書き」などと表現。夜に学ぶ特徴や、家族や教員らの協力にも敬意を込め「優しく 見守る 星明かり」と記した。

 曲は終盤の「ここは いろは中学校」で盛り上がる。伊地知さんは「胸を張って、誇りを持って校名を歌えるようにした」と話す。一般的な校歌は、元気よく勇ましい曲調が多いが、大人が学ぶ姿を表すため、全体的に落ち着いたトーンにもこだわった。

 入学式で伴奏した鮫島伊都子教諭(60)は「生徒さんの思いとマッチした歌詞で、頑張る皆さんを後押ししている。初めて聞いたときは涙がこぼれた。行事の度に歌い、自分たちの校歌にしていきたい」と話した。

■メモ
 鹿児島県が4月、鹿児島市西谷山1丁目の開陽高校内に開校した。入学対象は県内在住で、不登校などで十分に学べずに学齢期を過ぎた人や、日本の義務教育を受けられなかった外国籍の人たち。昼間の中学と同じ教科を、平日夜に4校時まで学ぶ。最長6年在学できる。入学相談は随時受け付けている。

●鹿児島県立いろは中学校校歌

作詞・西世紀 
作曲・伊地知元子


火の山燃え立つ 桜島
みなぎる 思いを 底に秘め
学び合い 今こそ羽ばたく
ここは いろは中学校
希望に満ちた 明日へ


豊かに 息づく 錦江湾
優しく 見守る 星明かり
とりどりに 今こそ生き抜く
ここは いろは中学校
一途な夢の 寄せ書き


笑顔を 届ける 春風に
集めた 温もり 窓に寄せ
支え合い 今こそ踏み出す
ここは いろは中学校
新たな旅へと 続く

校歌の風景

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