入学式で校歌を歌う生徒たち=18日、鹿児島市西谷山1丁目のいろは中学校
鹿児島初の公立夜間中学の開校に合わせて制作された。4月18日にあった記念式典と入学式でお披露目され、生徒と教職員が大勢の参列者を前に合唱。歌詞を手掛けた作詞家の西世紀さん(72)=鹿児島市=と、曲を作った鹿児島作曲協会事務局長の伊地知元子さん(73)=姶良市=も駆け付けて聞き入った。
1期生は10~80代の男女19人。西さんは、山田洋次監督が夜間中学を描いた映画「学校」のイメージを手がかりに歌詞を書き始めたという。さまざまな事情を抱えながら、学び直す決意をした生徒たちの思いを「一途(いちず)な夢の 寄せ書き」などと表現。夜に学ぶ特徴や、家族や教員らの協力にも敬意を込め「優しく 見守る 星明かり」と記した。
曲は終盤の「ここは いろは中学校」で盛り上がる。伊地知さんは「胸を張って、誇りを持って校名を歌えるようにした」と話す。一般的な校歌は、元気よく勇ましい曲調が多いが、大人が学ぶ姿を表すため、全体的に落ち着いたトーンにもこだわった。
入学式で伴奏した鮫島伊都子教諭(60)は「生徒さんの思いとマッチした歌詞で、頑張る皆さんを後押ししている。初めて聞いたときは涙がこぼれた。行事の度に歌い、自分たちの校歌にしていきたい」と話した。
■メモ
鹿児島県が4月、鹿児島市西谷山1丁目の開陽高校内に開校した。入学対象は県内在住で、不登校などで十分に学べずに学齢期を過ぎた人や、日本の義務教育を受けられなかった外国籍の人たち。昼間の中学と同じ教科を、平日夜に4校時まで学ぶ。最長6年在学できる。入学相談は随時受け付けている。
●鹿児島県立いろは中学校校歌
作詞・西世紀
作曲・伊地知元子
一
火の山燃え立つ 桜島
みなぎる 思いを 底に秘め
学び合い 今こそ羽ばたく
ここは いろは中学校
希望に満ちた 明日へ
二
豊かに 息づく 錦江湾
優しく 見守る 星明かり
とりどりに 今こそ生き抜く
ここは いろは中学校
一途な夢の 寄せ書き
三
笑顔を 届ける 春風に
集めた 温もり 窓に寄せ
支え合い 今こそ踏み出す
ここは いろは中学校
新たな旅へと 続く