鶴川内小学校の校舎
鶴川内(つるかわうち)小学校は、阿久根市北部の山あいにある。敷地のすぐそばを青い高松川が流れ、広々とした田畑を潤している。昔話の世界のようにのどかな景色は、校歌の歌詞そのものだ。
現在の校歌は、蓑手重則と西勇恕の鹿児島大学コンビが1960(昭和35)年に手掛けた。弾むようなメロディーに、高度成長期の明るい空気が漂う。
「帰りには高松川でよく水浴びをした」。卒業生で学校のそばに住む齊藤(旧姓・赤坂)ミサヱさん(95)は、歌詞を見せると懐かしそうに話した。だが、口ずさんだのは自身と同じ1929(昭和4)年誕生の旧校歌。こちらは、遠くに望む紫尾山の山並みを歌っている。
雰囲気の異なる二つの校歌だが、ともに3番は地名が鶴に由来することを伝えている。市発行の「阿久根の地名」によると、昔は鶴の渡来地だったことからこの一帯を「鶴来地(つるごち)」と呼び、それが転じて鶴川内になったという。地元を「つうごっ」と呼ぶミサヱさんが「鶴が飛んでいるのをよく見ていた」と教えてくれた。羽を広げた姿の校章も名残の一つだ。
■メモ 創立は1878(明治11)年。93(明治26)年に現在地へ移転した。校訓は「やさしく たくましく よく考える」。2008年に特認校制度を導入し、現在は17人が通う。「行ってみたくなる学校」をうたい、農作業や調理といった体験活動や読書などに力を入れる。
●阿久根市立鶴川内小学校校歌
作詞・蓑手重則
作曲・西 勇恕
一
山なみ清く 明けそめて
緑の風は 朝を呼ぶ
学びの窓に 今日もまた
瞳明るく 元気よく
学ぶぼくらだ わたしらだ
二
鷹首山の 若草に
高松川の せせらぎに
心をみがき 身をきたえ
みんな仲良く 助けあい
励むぼくらだ わたしらだ
三
鶴川内の 名において
さやかにかける 鶴のむれ
翼も強く はばたいて
望み大きく たくましく
生きるぼくらだ わたしらだ