吉松小学校の校舎
吉松小学校は、旧吉松町全域から児童が通う。鹿児島県北部に位置し、えびの市と隣接する県境のまちだ。作詞の浜田盛秀、作曲の武田恵喜秀は、ともに県内の校歌を多数手がけている。同校とどのような縁があったかは分からない。
歌詞にあるように霧島連山が望め、蟠龍梅(ばんりゅうばい)の名所もある。栗野岳の山裾に広がる沢原高原には、農耕馬の放牧場があった。竹中池や熊野などの湧水があり、温泉も豊富な湯の里はしばしば、川内川の霧に包まれる。
校歌は1960年度に制定。郷土の歴史に詳しい吉岡勇二さん(73)=同町川添=は当時3年生。前年から鉄筋校舎の建築が始まっており、「落成を機に作られたのでは」と推測する。
ボランティアガイド湧水(わくわく)汽車(ぽっぽ)会の大重忠文さん(78)は旧校歌しか知らず、「戦前の歌詞なので言葉が難しく、意味も知らずに歌っていた。今の詞は子どもにも分かりやすい」。
坂本敬校長(55)は「児童に親しまれている歌詞の通り、豊かな自然、歴史がある地域に支えられている」と感謝した。
■メモ 1872(明治5)年に創立。校訓は「やさしく かしこく たくましく」。現在の児童は74人。本紙「若い目」「子供のうた」など、新聞への投稿を通した国語教育に力を入れている。4~6年生は校区の棒踊りを運動会で披露し、地域の伝統文化を引き継いでいる。
●湧水町立吉松小学校校歌
作詞・浜田 盛秀
作曲・武田恵喜秀
一
さやかな夜明け ばら色の
望みかがやく 霧島よ
ああさちひらく 学びやに
ほこりも高く はげみ行く
吉松の子に 梅かおれ
二
みどりの沢原 風光り
いななく馬よ わく水よ
ああすこやかに 身をきたえ
つらぬく使命 もゆる意気
吉松の子よ 虹をよべ
三
川内川の 夕霧に
みのり豊かな 湯の里よ
ああ仲よしの かた組んで
平和をきずく 夢と歌
吉松の子よ 星仰げ