住宅地の中にある八幡小学校の校舎
学校周辺の風景は、校歌が作られた1954年当時と様変わりした。海は埋め立てられ、高層マンションが並ぶ。6年生の三本真也さんは「歌えば桜島や鹿児島湾の情景が目に浮かぶ。ずっと心に残る歌」と話す。
作詞作曲は八幡小学校職員とある。同校教諭だった住吉喜市さんの手記によると、当時教壇に立っていた吉村次雄さんが作詞、迫田武資さんが作曲した。職員と記された経緯は不明だが、二人は「鉄筋校舎落成の歌」「八十周年祝歌」など八幡小にちなんだ歌を作っている。
校歌に登場する鳩(はと)は、校区内にある荒田八幡宮では神の使いとされ、平和への願いが込められている。残された資料に、迫田さんは「戦災から起(た)ち上がろうとする私達(たち)の努力から生まれ出た曲」と記している。
10歳を迎える4年生が自らの成長を振り返り、将来の夢を保護者らに発表する「半成人式」は八幡小発祥。88年から今年で39回を数える。「夢を持って、今できることを頑張ってほしい」。内田奈緒美校長(59)は、児童が目標へ羽ばたいていく姿を期待する。
■メモ 1876年創立。校区は鹿児島市の中央部に位置し、住宅や商業施設が立ち並ぶ。鹿児島大学の水産学部や国際交流会館があり、留学生の子どもも机を並べる。来年150周年を迎える。校訓は「考える がんばる 助け合う」。児童数は6月現在で529人。
●鹿児島市立八幡小学校校歌
作詞、作曲・八幡小学校職員
一
明けゆく空は 七色に
峰は映えたり 桜島
燃える希望も 新しく
学びの庭に 光あり
ああ 光あり 八幡校
二
歴史は香る 学舎に
笑顔揃(そろ)えて 手をとって
伸びる力に 胸はれば
輝く瞳に ほこりあり
ああ ほこりあり 八幡校
三
鳩(はと)をかたどる この校章
世界は一つ 錦江の
波につながる この理想
永久(とわ)に平和の鐘はなる
ああ 鐘はなる 八幡校