鶴峰小学校の校舎と校門
鹿屋市吾平の田園地帯に立つ鶴峰小学校は、本年度限りで閉校する。地域の姿を落とし込み、半世紀余り歌い継がれる校歌を作詞したのは、児童文学作家の椋鳩十さんだ。
同校によると、現在の校歌は1970(昭和45)年に制定した。作曲は県音楽界の発展に尽力したピアニスト、武田恵喜秀さん。当時同校の教員だった間庭榮子さん(80)=垂水市=は「前の校歌ができてから年月がたち、時代に合わせたものを作ろうとなったのでは」と推察。「椋さんが学校に来て、歌い出しにあるセンダンの木を見ていた記憶がある」と振り返る。
校内に椋さんの自筆とみられる歌詞が残り、添えられた文章から思いが伝わる。例えば「美しく、明るく、校歌としての格調なんてことも考えたつもり」。1〜3番全てに出てくる「鶴峰の子ら 眉あげて」には、「決意を示す」と記す。
同じ地域の吾平小に統合される鶴峰小。田中かおり校長は「地域の自然や風景が表現されている。閉校になっても、子どもたちや地域の人の心に残ると思う」と話す。
■メモ 1879年、上名小として創立。当時の校舎は吾平地区の八幡神社そばにあり、1947年に現在地に移転した。「神代三山陵」の一つである吾平山上陵も校区内で、校歌に登場する。現在の児童は2〜5年生の9人。校訓は「考える子 助け合う子 元気な子」。
●鹿屋市立鶴峰小学校校歌
作詞・椋 鳩十
作曲・武田恵喜秀
一
せんだんの花 紫に
腕組む子らの 肩に散る
知識の花を 咲かせんと
鶴峰の子ら 眉あげて
仰げば空は ルリの色
二
遠くかすみて 吾平(あいら)野は
実り豊かに 金の波
努力惜しまず 学ばんと
鶴峰の子ら 眉あげて
仰げば空に かかる虹
三
吾平の陵の 森あたり
朝の光の すがすがし
郷(くに)の夜明けを この手にと
鶴峰の子ら 眉あげて
仰げば空に 明けの星