鹿屋市立鶴峰小学校|作詞は椋鳩十、自筆の添え文には「格調なんてことも考えた」

2025/07/29 05:00
鶴峰小学校の校舎と校門
鶴峰小学校の校舎と校門
 鹿屋市吾平の田園地帯に立つ鶴峰小学校は、本年度限りで閉校する。地域の姿を落とし込み、半世紀余り歌い継がれる校歌を作詞したのは、児童文学作家の椋鳩十さんだ。

 同校によると、現在の校歌は1970(昭和45)年に制定した。作曲は県音楽界の発展に尽力したピアニスト、武田恵喜秀さん。当時同校の教員だった間庭榮子さん(80)=垂水市=は「前の校歌ができてから年月がたち、時代に合わせたものを作ろうとなったのでは」と推察。「椋さんが学校に来て、歌い出しにあるセンダンの木を見ていた記憶がある」と振り返る。

 校内に椋さんの自筆とみられる歌詞が残り、添えられた文章から思いが伝わる。例えば「美しく、明るく、校歌としての格調なんてことも考えたつもり」。1〜3番全てに出てくる「鶴峰の子ら 眉あげて」には、「決意を示す」と記す。

 同じ地域の吾平小に統合される鶴峰小。田中かおり校長は「地域の自然や風景が表現されている。閉校になっても、子どもたちや地域の人の心に残ると思う」と話す。

■メモ 1879年、上名小として創立。当時の校舎は吾平地区の八幡神社そばにあり、1947年に現在地に移転した。「神代三山陵」の一つである吾平山上陵も校区内で、校歌に登場する。現在の児童は2〜5年生の9人。校訓は「考える子 助け合う子 元気な子」。

●鹿屋市立鶴峰小学校校歌

作詞・椋 鳩十
作曲・武田恵喜秀


せんだんの花 紫に
腕組む子らの 肩に散る
知識の花を 咲かせんと
鶴峰の子ら 眉あげて
仰げば空は ルリの色


遠くかすみて 吾平(あいら)野は
実り豊かに 金の波
努力惜しまず 学ばんと
鶴峰の子ら 眉あげて
仰げば空に かかる虹


吾平の陵の 森あたり
朝の光の すがすがし
郷(くに)の夜明けを この手にと
鶴峰の子ら 眉あげて
仰げば空に 明けの星

校歌の風景

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