高架を走る市電=1985(昭和60)年■渋滞の元凶とみなされた上町線

2022/06/18 17:42
廃止間近に迫った鹿児島市電の上町線、鹿児島市長田町の岩崎谷近くで列車と交差する市電=1985年9月20日
廃止間近に迫った鹿児島市電の上町線、鹿児島市長田町の岩崎谷近くで列車と交差する市電=1985年9月20日
 鹿児島市道岩崎谷-長田線は、かつて市電・旧上町線(清水町-市役所前)の軌道だった。高架を走る電車が列車と交差する光景は鉄道ファンならずとも、写真に収めたくなったに違いない。

 上町線は1927(昭和2)年に朝日通-七高前で開通、その後波乱の歴史をたどる。名所が集まる周辺の景観を損なうなどと廃止論がくすぶった。その後、45年の空襲で壊滅状態となった。

 戦後、桟橋通を起点に随時復旧し清水町まで延伸、市民の足として親しまれた。一方、郊外団地の造成でマイカー通勤が増え乗客は減少。道路渋滞の元凶とまでみなされ85年10月1日、伊敷線とともに廃止された。

 最終便の運行日は、沿線住民だけでなく市内全域から人々が集まり、定刻が過ぎても発車できないほどだったという。

日間ランキング >