西日本随一目を指す桜島水族館(鹿児島郡西桜島村、今の鹿児島市桜島横山)。社会科の勉強で訪れた修学旅行小学生の列=1956年
修学旅行の子どもたちが列をなして目指しているのは、鹿児島市桜島町袴腰の溶岩原にある3階建ての建物。1956(昭和31)年、旧西桜島村が開設した県内初の水族館だ。
桜島の観光資源開拓と理科教育の生きた教材を提供するのが狙い。1階が水族館、2階は食堂、3階は展望台で、各水槽は絶えず海水が流れる仕組みになっていた。
南日本新聞はオープン当初に「小さな竜宮城」と銘打って写真グラフで紹介。「熱帯魚群がピンクやパステル、ブルーなど容色を競っている…ファッションショーさながらだ」などと記している。
開館から2年後には、溶岩を利用した釣り堀も完成。近海のアジを入れて人気は爆発した。しかし、次第に客足は遠のき74年に閉館することになった。