森林軌道(トロッコ列車)で登校する安房小学校太忠岳分校の子どもたち=1962年
屋久杉などの搬出がピークだった昭和30年代、屋久島町小杉谷からの子どもたちは、切り出した木材を載せるトロッコで登校していた。標高600メートル、屋久島連山の中腹にあった安房小太忠岳分校。中学校もあった。当時の南日本新聞は「毎朝7時40分に乗った」と記す。
屋久島の森林軌道は1924(大正13)年に安房から安房川に沿って小杉谷方面へ向けて開設。最も伐採が盛んだった頃は、小杉谷集落にはおよそ540人が住んでいた。トロッコは生鮮品買い出しにも使われ、麓と往来のための「生活軌道」でもあった。
国内の木材需要低迷などで70年、小杉谷事業所閉鎖とともに集落は姿を消し、小・中学校も廃校となった。森林軌道は今、縄文杉登山ルートの一部となっている。