3カ月ぶりの帰還=1953(昭和28)年11月■韓国に拿捕された第7大栄丸

2022/09/20 18:01
出迎え船第8大栄丸で母港串木野に帰ってきた第7大栄丸乗組員=1953年11月27日
出迎え船第8大栄丸で母港串木野に帰ってきた第7大栄丸乗組員=1953年11月27日
 1953(昭和28)年11月27日午後1時、1隻の漁船が串木野港に入港した。韓国に拿捕(だほ)され、安否が気遣われていた第7大栄丸(39トン)の船長ほか15人がおよそ3カ月ぶりに故郷の土を踏み、家族など約1000人が大漁旗を掲げ出迎えた。

 韓国はサンフランシスコ平和条約発効を控えた52年1月に突如、朝鮮半島周辺海域に「李承晩ライン」を設定。自国の主権を宣言し、日本の漁船を締め出した。鹿児島関係では、第7大栄丸が最初の拿捕漁船となった。

 船ごと連行された後、刑務所に44日間収監。過酷な日々で、当時の新聞は「麦飯に副食は塩だけ。毛布は8人で2枚。暴力こそなかったが、栄養失調で何かにつかまらないと5歩くらいも歩けないほど」などと記す。

 「李承晩ライン」は、日韓基本条約(65年)によって廃止された。

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