塩田さん 刷新誓う

2020/07/13 10:15
当選を確実にし、支持者らの祝福を受ける塩田康一さん=7月12日午後10時52分、鹿児島市荒田1丁目
当選を確実にし、支持者らの祝福を受ける塩田康一さん=7月12日午後10時52分、鹿児島市荒田1丁目
 戦後最多の7人が争った12日の鹿児島県知事選で、県民は候補者で最も若い塩田康一さん(54)に4年間のかじ取りを託した。選挙戦は新型コロナウイルス感染の影響で、握手や集会を自粛するなど異例の展開。知名度の低い新人には不利とみられたが、塩田さんは「新しい鹿児島をつくる」と刷新を訴え、草の根で支持を集めた。2期目を目指した現職の三反園訓さん(62)は大票田の鹿児島市で塩田さんに差を付けられ、涙をのんだ。

 「よっしゃ」。午後10時40分ごろ、テレビが塩田康一さんの「当選確実」を報じると、鹿児島市の塩田さんの事務所駐車場には大きな拍手と歓声が上がり、新しい知事の誕生に沸き返った。
 10分ほどして姿を見せた塩田さんは支援者から笑顔で花束を受け取り、「鹿児島をどうにかしたいという県民の思いに支えられた」と感謝。「若者が地域で暮らすための産業創出に力を入れる。10年、20年先の持続可能な発展に向けた基盤づくりをしたい」と決意を述べた。
 昨年12月に経済産業省を退官。「古里の発展に一身をささげる」と退路を断って挑んだものの、3月のコロナ発生以降は思うように集会を開けず、地方や企業を地道に回って顔と政策を売り込んだ。
 推薦願を出していた自民・公明両党は現職の三反園訓さんを推薦。現職に批判的な自民、野党の県議らから元職の伊藤祐一郎さんとの一本化を迫られたが、出馬の意志は揺るがず、組織に頼らない草の根の戦いを展開。「素人集団」(陣営)の若手経営者らが支えた。
 当初は知名度不足も指摘されたが、告示後から風向きが変わった。控えめなイメージの殻を破り、「前でもない、今でもない、新しい鹿児島を県民と一緒につくる」と、自身が最も次のリーダーに適していることを強調。期待は日増しに高まり、「点から線、線から面へと支持が広がっていった」。
 喜びに浸りながらも、支援者らはコロナ感染者や不況に苦しむ人、大雨の被災者への配慮から万歳三唱は封印。塩田さんは「コロナ対策と大雨の災害復旧が最優先。安心安全と経済活動の両立を目指す」と襟を正した。

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