■鹿児島選挙区・候補者の横顔

■ 尾辻朋実氏(44)無所属 新

 「父は36年間の参院議員生活で徹底して『虫の目』を守ってきた。私はその思いを胸に活動を続けていく」。6月に開いた集会で、父・秀久氏を引き合いに声を上げた。  この半年間、県内各地を回り地方の声に向き合ってきた。相手の話を聞きながら変わる豊かな表情が特徴的。会場に集まった超党派の支援者を前に、感謝の思いがあふれて涙を浮かべることもある。本人の言う「笑ったり、泣いたり、怒ったり、人間くさい性格」が表れる瞬間だ。
尾辻朋実氏
 40代半ばの就職氷河期世代。大学卒業後、三井物産に入社したが、非正規雇用の同期や先輩を見て、法律により働き方や職場を変えざるを得ない不安定な状況をおかしいと感じた。「こんな世代を二度と繰り返してはいけない」と語る。  秀久氏の選挙を手伝うために会社を3年で退職。その後、法科大学院で法律を学び、司法試験に挑戦した。2019年からは秘書として秀久氏を支えた。そばで背中を見てきて「父が貫いてきた政治姿勢や魂、思いを守りたい」と出馬を決意した。  新自由主義を批判し、地方と都市の格差是正を訴える。時限的な食料品消費税率0%や選択的夫婦別姓の実現、農家の戸別所得補償制度の復活を主張する。  鹿児島市出身。2年前に伊佐市出身の料理人の夫(43)と結婚した。趣味は大学時代に始めたスキューバダイビング。県内外の海で潜った。大の焼酎好き。座右の銘は「温故知新」。

■ 牧野俊一氏(39)参政 新

 政治に関心を持ったのは初めて海外旅行をした大学生の頃。ペルーとボリビアを訪れ、フルコースのディナーが600円だった。「料理人や農家の労力はどの国も変わらないはず」と経済格差に疑問を持ち、独学でマクロ経済を学び、自然と政治にも関心を持った。  京都府出身で鹿児島市在住の医師。「グローバリズムが文化・伝統を壊し格差を生む」と感じていたところ、3年前に参政党を知り入党した。県連に出馬を打診され驚いたが「参政権を最大限活用したい」と決意した。裏金問題や財務省の影響力を批判し、「言葉を尊び、国民に対し誠実な政治」を目指す。
牧野俊一氏
 減税と積極財政を訴える。「貨幣の発行に限りはない。緊縮財政で失われた30年間で、本来なら全国に新幹線が通り、電柱は地中化されていた」。国内総生産(GDP)も大きく違っていたと主張する。  マクロ経済を分かりやすく伝えようと、5年前からパソコンとカードを組み合わせたゲームを作る。先日試しに党員らに遊んでもらうと「面白い」「貨幣発行プロセスが分かった」などの反応があった。  趣味はアドベンチャーレース。DIYも得意で最近は研究で使う小動物用麻酔器を約5000円で自作したという。  一つのことに熱中する性格が災いしてか、「海外旅行で忘れ物せず帰れたことがない」と語る。座右の銘は「出るくいは打たれるが出過ぎたくいは打たれない」。

■ 園田修光氏(68)自民 元

 「私は使いがいのある男。国会で仕事をさせてほしい」。首長や県議ら約1600人が集まった出陣式。奄美を含む県内を駆け回り日焼けした顔で訴えた。4候補者の中で唯一、衆参約10年の実績を携えた「即戦力」が国政復帰を目指す。  鹿児島市生まれで錦江湾高校、日本大学卒業。鹿児島市議だった父親の影響もあり政治家を志した。県議を2期8年務め、39歳で衆院選初当選。同期には菅義偉元首相や新藤義孝前経済再生担当相らがいる。親しみやすい人柄が周囲を引きつけ、議員事務所は同期や記者らのたまり場だった。
園田修光氏
 選挙では何度も涙をのんだ。それでも国政への思いは揺らがない。「何回負けても地域の皆さんが支え続けてくれた。同期からも『絶対にあきらめるな。帰ってこい』と励まされる。だから折れずにやってこられた」と感謝する。  現職時代は新型コロナの対応に尽力。今後、最も取り組みたい課題は介護や医療現場の人手不足だ。「地方から東京など収入のいい都市部に人材が流出している」。待遇改善や格差是正が国の仕事だと強調する。自身も社会福祉法人の運営に携わり「今、何が必要なのか私自身が一番よく分かっている」と力を込める。  高校時代はヨット部に所属。後援会長は後輩で、日本人女性初の単独無寄港世界一周を果たした今給黎教子さんに託した。「彼女なら必ず永田町の港に届けてくれるはず」。3人の孫と過ごすのが何よりの楽しみ。座右の銘は「敬天愛人」。

■ 山本貴平氏(50)N党 新

 外国人による不法滞在や闇バイト加担などに危機感を抱き、選挙でも強く訴える。行き過ぎた表現は差別につながる危険性もあるとした上で「アメリカでは移民による事件が増えている。日本も人ごとではなく、外国人にまつわる問題を指摘する政党があってもいい」。政治団体のNHK党を国政政党にすべく、比例票の積み上げを狙う。
山本貴平氏
 トラック運転手など職を転々としていた中、政治に目覚めたのは立花孝志党首のユーチューブ活動がきっかけだった。2018年に入党し、24年まで党職員としてコールセンター業務などに従事した。受信料の相談以外に、人生相談に乗ることも。「会話は楽しく、どんな電話でも切らずに付き合った」と明かす。  アウトドア用品を扱う自営業の傍ら、地元の東京都江戸川区でも政治活動を展開。政治団体「次世代えどがわ」を立ち上げ、災害時の避難所の在り方など「防災」に関し問題提起する。  そのほか消費税減税、生活保護の窓口対応など関心事は幅広いが、共通するのは「弱者目線」だという。「立場の弱い人が困っているのはおかしい」との考えの下、同じ価値観を多くの国民に共有すべく発信力のある政治家を目指す。  国政選挙はこれまで4回挑戦した。鹿児島は「自然が豊かで人がいい印象」という。  趣味は旅行で、約15年前、東京から鹿児島をゴールに九州を車で旅したこともある。「思い立ったら動く行動派」と笑う。
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