少子化や共働き世帯の増加などが、PTA活動に大きく影響している。各学校のPTAや市郡町村単位で組織するPTA連合会では解散や上部団体からの脱退が相次ぐ。
都道府県単位の連合会も存続が厳しい組織が出ており、今年9月には、全国で初めて岡山県PTA連合会が年度末で解散する方針を表明した。保護者も教職員も全員入会が当たり前で、全会員に何らかの役割分担を求めてきたが、在り方を見直し、継続できる組織への改革を急がなければならない。
PTAは、保護者と教師が協力して教育効果の向上を図ることを目的に米国で生まれた。わが国では終戦後、連合国軍総司令部の働きかけで、国家による教育への過度の介入を防ぎ、民主化を進めるために設立・普及した。
全国の組織は、日本PTA全国協議会を頂点に都道府県、市郡町村、学校単位というピラミッド型の構造となっている。「学校運営や行事のサポート」「保護者同士や教職員と保護者の情報交換」「会員の研修会開催」「地域社会との連携」などを主な活動の柱にしている。
任意団体のため法律上は会員それぞれの意思で入退会できるが、設立時の歴史的な背景もあり、子どもが入学すると同時に自動入会し会費を収めるのが当然とされてきた。設立から長く専業主婦が一般的な時代が続き、活動の多くを女性が担い平等に活動を割り当てて運営された。
ところが女性の社会進出が進み、多くが共働き世帯に変わり、平日の昼間の活動に加われない家庭が増えている。本来は、子どもたちのよりよい教育環境を保護者と教職員が一緒につくるための組織のはずが、「全員参加」「平等に役割分担」が目的化され、実情との乖離(かいり)は否めない。
「任意団体なので入退会は自由」という意識が広がったこともあり、全国で組織を見直す団体が増加。学校単位のPTAの解散や上部組織からの脱退へとつながっている。鹿児島県では少子化で相次ぐ学校統合が主な要因だが、この10年間で約1割減った。子どもの減少は親の役割負担を増やす結果になっている。
とはいえ、保護者同士の情報交換や環境改善に向けた学校との話し合い、地域社会との連携などPTAが担ってきた役割が不要になることはあるまい。教職員の働き方改革が求められ、むしろ重要さは増している。
全国では継続できる組織形態や運営の模索が続く。「入退会や会費の支払いを自由にする」「手上げ方式でやりたい人がやる」といった点を尊重し、活動を洗い直すところが多い。こうした例を参考に組織をスリム化し、無理なく取り組めるように変えていくことが肝要だ。