審査のポイント■種牛は体の大きさや姿形で判断/肉牛の霜降り評価は量から質へ

2021/10/07 10:09
和牛五輪審査のポイント
和牛五輪審査のポイント
 全国和牛能力共進会が目指すのは、コストパフォーマンスが良く、消費者ニーズに合った肉を生み出す牛づくりだ。審査のポイントはどこにあるのか。全国和牛登録協会鹿児島県支部の坂元信一副支部長(62)に聞いた。

●〈種牛の部〉体の大きさや姿形で判断

 種牛としての理想形を定めた「審査標準」をもとに採点される。

 最も重要なのは発育の良さ。体の深さ(肩から胸までの長さ)、伸び(胴の長さ)、幅を見比べ、肉になる部分の体積が大きい方が評価される。

 とはいえ、月齢に応じた体高の発育曲線から大きく外れると上位には入れない。大きすぎると飼料代がかさみ、農家経営を圧迫するからだ。

 体の締まり、姿形のきれいさといった外観も審査される。中でも種牛の能力が最も表れるのが顔。「額は平らで広く」「目はいきいきとして温和」など細かい規定がある。

 見た目を重視するのは、寿命や出産間隔と連動するから。“美男”“美女”ほど経済性が高いというわけだ。

●〈肉牛の部〉霜降り評価は量から質へ

 全共に出品される肉牛は、市場取引で重視される肉量、肉質に加え、和牛の特長である脂肪交雑(サシ、霜降り)の質も審査対象となる。鹿児島大会から配点が5倍に引き上げられ、肉量、肉質と同等となる。

 単なる霜降り肉ではなく、おいしさも兼ね備えた牛づくりを促すのが狙いだ。背景に高齢化や健康志向の高まりから、サシを敬遠する消費者が増えていることがある。

 具体的には、脂肪に含まれるオレイン酸などの一価不飽和脂肪酸(MUFA)の量をはかる。含有量が高いほど口溶けが良く、うま味、香りが高まって牛肉の風味が増すとされる。MUFA含有量をブランド認定条件としている産地もある。

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