湯田旗争奪ソフトボール大会の始球式でバッターボックスに立つ横田慎太郎さん=4日、日置市の東市来総合運動公園
「プロ野球選手になる」。その大きな夢のために、子どもの頃から、少し頑張れば達成できそうな小さな目標を毎日立てていました。一人の時間をつくってトレーニングに励み、それを一つずつクリアしていきました。振り返れば、この「一人の時間」こそ、大切な時間だったと思っています。
朝5時ごろ起きて、学校に行くまでの間に腹筋、背筋、腕立て伏せ。チーム練習が終わって帰宅してからも、素振りやシャドーピッチングに汗を流しました。
「昨日より10分長くやろう」と決めて素振りをしたり、打てなかったピッチャーをイメージしながら「次こそは打つ」という思いで練習したり…。つらいと感じたことはありませんでした。大好きな野球に打ち込み、少しずつうまくなっていくことが、ひたすら楽しかったのです。
小さな目標を立て、少しずつ少しずつ前に進む。ずっと続けてきたこのやり方が、病気と向き合う時にも力をくれました。
脳腫瘍から復帰した後は、試合に出られない日が続きました。それでも、朝の練習前には一人で素振りやランニングをして、練習後や休みの日もできるだけ時間を見つけて取り組みました。
目の調子が思うように戻らず、苦しいことも多かったです。ただ、諦めることは誰でもできます。勇気を出してやり続けたことが、引退試合での奇跡のようなバックホームに結びついたのではないか。そう思っています。
これからも前を向いて進んでいきたい。体のことはまだまだ不安もありますが、必ず良くなると信じています。
みなさんも、迷い悩んだ時やうまくいかない時には、ぜひ一人の時間をつくってみてください。自分と向き合い、何が足りないのか考え、克服するために今より少しだけ頑張る。それを続ければ、今が苦しくても、絶対に幸せな日が訪れます。
もう一つ。みなさんが学校に行ったり、好きなことに挑戦したりできるのは、お父さんやお母さん、周りの人たちのおかげです。常に感謝の気持ちを忘れないでください。
=おわり=