揖宿郡喜入町(鹿児島市)の中名海岸で埋め立て工事が進む日本石油基地の原油備蓄喜入基地=1968年5月
国道226号を鹿児島市から指宿へ向かうと、40分余りで左手に巨大なタンク群が見えてくる。ENEOS喜入基地は原油735万キロリットル、日本の石油消費量の2週間分を貯蔵できる。敷地面積は約193万平方メートルで県立鴨池野球場が約72個入るほどの広さだ。
1967(昭和42)年11月に、旧喜入町中名の海岸沖合の埋め立て工事に着手した。時は高度経済成長のまっただなか。地元経済への期待も大きく、起工式には「町民も約1000人が見物に詰めかけお祭り気分」と当時の新聞は伝える。(写真は68年5月撮影)
操業開始は69年9月。同時に第1船が入港し、中近東からの重油を運び込んだ。その後も埋め立てとタンク設置工事が並行して行われ82年末に完工した。