1軒だけ立つ鹿児島ベルコモンズ。周りは空き地ばかりで「与次郎砂漠」と言われた=1977年
周囲を空き地に囲まれた一角に、ぽつねんと出現した街。1976(昭和51)年、鹿児島市与次郎の埋め立て地にオープンした「ベルコモンズ」だ。
若者向けの最先端ファッション店やハンバーガーショップなど40店舗以上が軒を連ねた。白い壁にオレンジの屋根、地下や1階、2階など複雑な構造。斬新さも相まって当時、鹿児島が全国に誇ったしゃれた街だった。
「与次郎砂漠」と言われた埋め立て地に生まれたオアシスのような街は、初めこそ多くの若者や家族連れでにぎわった。しかし、1日にバスが9本と交通アクセスが悪く、1年たったころから客足が遠のいた。店はくしの歯が欠けるように撤退し、80年に営業を停止した。