庭木の害虫、今年は大発生? イヌマキの葉食い荒らすキオビエダシャク 卵、サナギ、成虫には薬効かず

2022/08/22 07:25
キオビエダシャクの成虫
キオビエダシャクの成虫
 イヌマキ(ヒトツバ)の葉を食い荒らすガの一種、キオビエダシャクに関する相談が、今年も鹿児島県内の自治体に寄せられている。秋まで産卵と羽化を繰り返すため、自治体は「幼虫がイヌマキにいないか確認し、効果的な薬剤散布で被害を食い止めて」と呼びかける。

 キオビエダシャクはシャクガの一種で、成虫が羽を広げた大きさは4~6センチ。2000年ごろから南薩地方を中心に増え、県内全域で見られるようになった。約70年前にも県本土で大発生した記録が残る。約2カ月で卵から成虫のサイクルを繰り返すため、地域でばらつきはあるものの、発生ピークは春から秋にかけて3~4回ある。

 県森づくり推進課によると、昨年度の相談は過去5年で最多の合計494件だった。鹿児島市の190件が最も多く、出水市68件、大和村38件、志布志市、奄美市の35件が続いた。被害だけでなく、成虫の目撃情報や駆除方法の問い合わせを含むため、件数と被害実態とは直結しないという。本年度の取りまとめは現時点で行っていない。

 駆除に使う薬剤は、トレボン乳剤やロックオンと呼ばれるものが一般的。いずれも効果があるのは幼虫に限られ、卵や成虫、サナギには効かない。散布から一定期間が過ぎると効き目も低下するため、複数回にわたって薬剤を散布する必要がある。

 鹿児島市生産流通課によると、今年も5、6月から問い合わせ電話が増えだした。市は各農林事務所で噴霧器を貸し出し、自力で散布できない人には県造園建設業協会などに問い合わせて造園業者を紹介してもらうよう案内する。

 成虫がイヌマキ周辺を飛び回る場合は、卵が産みつけられている可能性が高い。ふ化して間もない幼虫は小さく目視が難しいが、市の担当者は「枝を揺すると糸を垂らして下がってくる。確認して薬剤散布の目安にしてほしい」とアドバイスする。

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