磯新駅設置協議会(鹿児島市、藤安秀一会長)は1日、駅舎の設置場所が同市吉野町の尚古集成館前の緑地帯となることを明らかにした。同日開いた2022年度第2回総会で駅のイメージを盛り込んだ整備計画を公開した。JR九州が24年度にも着工し、同年度末の開業を見込む。
計画では、駅舎はJR日豊線沿線の市道上本町磯支線と国道10号に挟まれた緑地帯に設置される予定。尚古集成館本館(旧集成館機械工場)など世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産の範囲外に当たる。プラットホームは92メートルで、改札付近には25メートルの鋼製屋根を整備する。
協議会によると、駅設置に伴い姶良方面から祇園之洲方面へ向かう市道上本町磯支線が廃止となるため、国道10号に新たな左折専用車線が増設される予定。鹿児島市文化財課は地下の遺構調査を計画しており、遺構に配慮が必要とする。
世界遺産に隣接し景観への配慮が必要なため、国内外の専門家から助言を受け、協議会は22年度内に国連教育科学文化機関(ユネスコ)へ遺産影響評価報告を提出する。駅舎施設の整備費は17年時点で3億8500万円を試算していたが、山口裕史事務局長は「JR九州が現在設計中であり、整備費は確定していない。負担割合も事業費が確定した後、関係者で協議する予定」と話した。
協議会は、設計費として本年度予算で2312万円(前年度比288万円増)を計上している。藤安会長は「ここまで関係者は大変な労力を投入している。プロジェクトを成功させることが私の使命」と話した。