帰宅のため乗車する園児を確認する教諭=7日午後、鹿児島市唐湊4丁目
静岡県牧之原市の認定こども園で3歳の女児が通園バスに取り残され死亡した事故を受け、バスを運行する鹿児島県内の幼稚園や認定こども園の関係者は7日、「何重にもチェックすれば防げる事故」と声をそろえ、「安全確認の業務を改めて徹底する」と事故防止を誓った。
同日午後、全園児の8割に当たる98人がバスを利用する唐湊幼稚園(鹿児島市)。園児を自宅近くまで送り届けるバスの前で、同乗する教諭が利用する園児の名前を一人ずつ呼んだ。
同園は朝の登園時を含め、その日に乗車する園児の名簿を使って必ず点呼し、乗降人数を確認する。朝は園到着後に運転手、教諭がそれぞれ車内を見回り、クラスで担任が出欠を取る。
「園児がバスに乗った時から命を預かっている。安全確認はみんなで行わなければ」と福留正人園長(71)。事故後、各自が基本的な業務を徹底するよう職員に呼びかけた。
約100人がバス利用を登録する名瀬信愛幼稚園(奄美市)も、乗車名簿で全員の降車を確認するなど「二重三重のチェック体制」を取る。青堀美奈子園長は「降車後は教諭、運転手がそれぞれ車内を点検し、今は新型コロナウイルス対策で消毒も必要。園児を見落とすのは考えられない」と声を落とした。
事故があった静岡県の認定こども園は、女児が園内にいないにもかかわらず、管理システムで「登園」と入力したとされる。
同様のシステムを使う隼人ひまわりこども園(霧島市)の原田謙二園長(67)は「デジタル化が進んでも、担任がクラスで園児一人一人の顔を見て出欠確認する大切さを感じる。関係者一人一人が事故をわが事として捉えなければ」と強調。事故当日は70代の高齢2人が業務に当たっていた背景に「人材不足もあるのでは。根本的な解決には人員確保も必要」と指摘した。
県は6日、県内の保育施設や市町村に送迎バスの安全管理を徹底するよう文書で要請した。昨年7月に福岡県で起きた同様の事故後、計1255施設に通園バスの保有状況を調査。25%の320施設がバスを持っていると回答したという。