レーザースキャナーによる計測で端末画面に映し出される「疾風」の解析画像=南九州市の知覧特攻平和会館
鹿児島県南九州市の知覧特攻平和会館は、展示している旧陸軍四式戦闘機「疾風」の機体の詳細な計測を進めている。設計図面などが終戦時に焼却処分されて現存せず、文献によって全長、全幅などの数値が異なる。最新の計測機器で正確な寸法を割り出し、本年度中に図面を作成する。
疾風は太平洋戦争後期の旧陸軍主力戦闘機で、米軍が接収した後、米国の収集家などを経た機体を旧知覧町が購入。1997年から同館で展示してきた。現存する機体はこの1機のみとされる。2017~21年に専門家による調査が行われ、来歴が確認された。
27日は閉館後、展示室にレーザースキャナーを持ち込み、機体にレーザー光線を照射。跳ね返ってくる時間で距離を換算し、3次元データを収集した。これに写真データを加えて解析すると、端末画面にリアルな立体画像が映し出された。高さや方向を変えて約30方向から照射し、ミリ単位の精度で計測できるという。
同館学芸員の八巻聡さん(46)は「失われた情報を復元する作業。正確な寸法が分かれば、当時の航空技術の検証もできる。貴重なデータなので有効に活用したい」と話す。