昼休みに校庭で遊ぶ児童=垂水市の水之上小学校
垂水・鹿屋の両市にまたがる高隈山系の一つ、白山〔はくさん〕(標高796メートル)の麓にある校舎で学ぶ子供たち。〈見よ白山のれい峯〔ほう〕を 朝な夕なにあおぎつつ〉登下校している。校区は、垂水市内を流れる本城川流域の扇状地に広がる田園地帯と、旧大野小学校区(2006年統合)の高峠周辺の高原地域からなる。
創立百周年記念誌によると、校歌は1934(昭和9)年にできた。作詞は第12代校長の安庭厚氏。「一説には当時垂水実科女学校の堀口教諭に依頼した」とも書かれる。作曲は肝付町新富出身で高校の音楽教師の宇都宮寅太郎氏。大隅半島の校歌に数多く名を残している。
校訓は「元気な子」だ。ある昼休みは、校庭で学年を超えてサッカーを楽しむ姿が目立った。〈意気にもえたつ若人の きぼうにもらすほほえみを〉との歌詞通り、気骨ある伝統が連綿と受け継がれる。
県指定文化財の勝軍〔しょうぐん〕地蔵など、学校近くには文化財や史跡が数多く残る。京都の石清水八幡宮を分神として祭った、と伝えられる〈もりもゆかしき上之宮〔かんのみや〕〉こと手貫〔たぬき〕神社(上之宮神社)もその一つ。平安時代末期までに創建されたという境内には、樹齢400年、高さ約12メートルの「文禄〔ぶんろく〕大くす」がそびえ、子供たちの成長を見守っている。
〈のぼる朝日のかげもゆる 田のもゆたけき水之上〉という豊かな自然環境により心身が育まれる。花峯哲則校長(58)は「校区の歴史と文化に誇りを持ち、バランス感覚を兼ね備えて羽ばたいてほしい」と期待を込めた。
●メモ 1878(明治11)年創立。6年生は毎年、白山登山に挑戦する。児童は「雨風の強い日でも歩いて登下校」「靴箱の靴のかかとをそろえる」などの実践を通し、心身や生活態度を整えている。新型コロナウイルスの感染拡大前は校区民総出で祭りを開くなど、地域活動も盛ん。児童数78人(11月1日現在)。
(南日本新聞2022年11月21日付)