10年余で1割減 自治会の合併が進む理由が切実…「行事開けず役員選びも大変だった」 加入率の維持に知恵絞る

2023/04/06 15:00
「枦山自治会」設立総会で握手をする旧枦山上、下の両自治会長=姶良市(枦山自治会提供)
「枦山自治会」設立総会で握手をする旧枦山上、下の両自治会長=姶良市(枦山自治会提供)
 鹿児島県姶良市で住民の自治組織「自治会」の合併が進んでいる。姶良、加治木、蒲生の旧3町が合併した2010年に331あった自治会は現在298で、1割が減った計算となる。高齢化や会員減少で活動が難しくなり、災害避難の対応などを考えて近隣同士が統合するケースが多いという。

 2日、重富地区で「枦山自治会」(163戸)の設立総会があった。100戸余りの枦山上と、枦山下が合併するもので、昨年から本格的に協議してきた。同地区は国道10号に近い住宅地で、子育て世帯も増える一方、50年ほど前に移住してきた高齢者や地元で生まれ育った住民が混在する。

 枦山下の自治会加入率は9割以上と高かった。だが、会長だった有馬耕一さん(71)は「高齢化で行事も開けず、役員選びも大変だった」と話す。子ども会や高齢者サロン活動は元々合同で、合併の下地はできていたという。

 枦山上の会長で、新会長に就いた野口治將さん(78)は「子どもや若者中心の行事を通じ、活動を活性化させたい」と、規模が拡大する合併を前向きに捉える。市からの合併補助金で天体望遠鏡を購入し、子どもと高齢者の天体観測会を開くことも計画する。

 市地域政策課によると、自治会合併は旧3町いずれでも進んでおり、加治木では2年前、4自治会が統合した。また、子育て世代などの移住者増加を背景に、加入率は市全体で8割弱と低下傾向という。

 枦山自治会では、若い世帯には一定期間、会費や役員を免除するなど加入率の維持に取り組む。野口会長は「各家庭の事情を理解し、押し付けないようにしている。地域の安心安全を生む、助け合える組織にしたい」と話した。

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