菌繁殖 大敵は温度と水分 食中毒に注意、弁当作りのコツは「つけない」「増やさない」「やっつける」 

2023/07/09 17:27
弁当を頬張る園児ら=6月下旬、鹿児島市の敬愛幼稚園
弁当を頬張る園児ら=6月下旬、鹿児島市の敬愛幼稚園
 気温や湿度が上昇すると、細菌が繁殖しやすくなり食中毒の危険が高まる。国が公表している食中毒発生状況のデータによると、2022年に起きた細菌性食中毒は258件。月別で見ると、10月が42件と最も多く、6月41件、7月31件と続く。食中毒予防の3原則、菌を「つけない、増やさない、やっつける」を基に弁当作りの注意点をまとめた。

 6月下旬、鹿児島市にある敬愛幼稚園では、園児が昼食の弁当を笑顔で頬張っていた。園では週に1回弁当の日を設けている。それぞれ自宅から持参した弁当は傷まないよう、冷房の効いた部屋で保管しているという。

 弁当を作る保護者も工夫を凝らす。毎日高校生の息子に作る薩摩川内市の公務員山元勉さん(52)は、「生野菜は水気を切って詰めるなど対策している」。3歳児に持たせる鹿児島市の母親は「大人なら臭いや味で弁当が傷んでいるか判断できるが、子どもがどこまで分かるのか」と気にかける。

 農林水産省は3原則に沿った安全な弁当作りをホームページで紹介する。

 菌を「つけない」ために、梅雨時期や夏場は、おかず用カップは使い捨てを薦める。繰り返し使えるシリコン製のカップは、洗い残しがあると菌が繁殖しやすくなる恐れがあるという。冷蔵庫や冷凍庫にある作り置きのおかずは、菌を「増やさない」よう詰める前に再加熱し、よく冷ましてから入れた方が良いと解説。カンピロバクターやサルモネラ属菌といった食中毒の原因微生物は加熱で「やっつける」ことができ、生で食べられるハムやかまぼこも火を通すことを推奨している。

 鹿児島市の鹿児島純心女子短期大学の食物栄養専攻で給食管理実習を担当する鎌田典子准教授は「菌は温度と水分によって増える」と説明する。

 鎌田准教授によると、菌が繁殖しやすい温度は20~50度。菌の好む環境が長時間続くのを避けるため、調理後は平らにして熱を逃がしやすくしたり、皿の下に保冷剤を敷いたりしてなるべく早く冷ます。おにぎりは、冷ましたご飯をにぎった方が安全という。

 水分が多いことも菌が増える原因になる。対策として、煮物やおひたしは汁気をしっかり切ってから詰める、レタスなど水分を含む生野菜をおかずの仕切りに使わない、ソースやタレは食べる直前にかける、などを挙げた。

 その他「梅干しや酢、ショウガ、ニンニク、ワサビといった抗菌作用のある食材・調味料を使うことも食中毒を防ぐ効果がある」と話した。

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