1931(昭和6)年完成の鉄筋コンクリート造り、新たな移転先が決まり、保存、活用してくれる団体に売却される予定になった鹿児島県教育会館=鹿児島市山下町
鹿児島市山下町の鹿児島県教育会館の新築移転先が決まったことが11日、分かった。場所の詳細は住民への影響などから現段階では非公表。同会館の維持財団は当初、国登録有形文化財の旧藤武邸(春日町)を解体し跡地に移転する方針だったが、市民団体の活動などを受け民間企業から旧藤武邸の保存、活用の申し入れがあり建物、土地を売却していた。旧藤武邸と同様に戦火を乗り越えた築92年の同会館の建物、土地も保存、活用してくれる団体を募り売却する方針。
同会館は1931(昭和6)年の完成で、鉄筋コンクリート造りの地下1階地上3階建て。中央公園に隣接している。戦時中に空襲で焼け野原となった同市街地では、戦前の建築様式を伝える貴重な建物となっている。一方で、老朽化が進んでいた。
財団によると、移転先の土地は旧藤武邸の売却費で購入し、6日に引き渡しを受けた。場所は「かごしま県民交流センターから600メートルほど」という。現在建物の設計を進めており、着工や完成時期は未定。建築費には同会館の売却費を充てる。現在の建物に入居する県教職員組合や県民教育文化研究所の7団体がそのまま移る。
同会館では市民らによる保存活用に向けたイベントも開かれている。財団の原園正敏常務理事(60)は「移転先も無事に見つかり感謝している。旧藤武邸と一緒に、歴史ある県教育会館の建物も残していきたい」と話した。