2万9000年前、鹿児島湾北部で巨大噴火が起き、姶良カルデラと呼ばれる直径約20キロのくぼ地ができた。姶良カルデラの活動により、桜島は約2万6000年前に誕生したとされる。
桜島の主要なマグマだまりは姶良カルデラの深さ10キロ付近にあり、マグマはここから桜島直下の深さ4キロ付近に移動するとみられる。マグマだまりと火口は火道と呼ばれる通り道でつながっている。地下にたまったマグマが上昇すると周りの圧力が下がるため、火山ガスの体積が徐々に増える。この現象が一気に進行し、噴火は起こる。
大正噴火では約1立方キロのマグマが噴出したとされる。姶良カルデラの西縁では約80センチの地盤沈下が確認されたが、徐々に隆起して現在は元の高さに戻りつつある。
京都大学防災研究所の井口正人教授は噴出したマグマのほぼ全量が再び蓄積しているとみており、「大正噴火クラスの噴火を起こす準備ができている。警戒を要する時期に入った」と訴える。
2015年8月15日には島内を震源とする地震が多発。新たな火道が形成されたが噴火には至っていない。
(2024年1月10日付特集面より)