鹿児島市立一倉小学校|かつての放牧地「喜入牧」、歌詞に昔の字で登場

2024/04/08 12:00
音楽の授業で校歌を歌う内琥蒼冴君(中央)、史結蒼君(右)=鹿児島市喜入一倉町
音楽の授業で校歌を歌う内琥蒼冴君(中央)、史結蒼君(右)=鹿児島市喜入一倉町
 一倉〔ひとくら〕小学校は鹿児島市の南西部、喜入地域の山あいに位置する。江戸時代、一帯は馬の飼育が盛んで、校区内には、飼育や馬追いが行われた放牧地「喜入牧」の跡がある。校歌の3番にも「旧牧〔きゅうまき〕」という昔の字〔あざ〕名が登場する。

 校歌は1960年3月の講堂落成に合わせて作られた。教頭だった中釜篤さんが作詞、作曲。6年生の担任も務めており、教えを受けた弓指優さん(76)は「毎日練習して卒業式に臨んだ。何度も歌ううち、今後も一倉小に誇りを持ってという先生の愛情を感じるようになった」と振り返る。

 児童数は弓指さんが在籍していた59年度の156人をピークに減少が続いている。現在は昨年県外から転校してきた内琥蒼冴〔こうが〕君(4年)、史結蒼〔しゆう〕君(3年)兄弟のみで、市立小では2番目に少ない。2人は「近所の人が毎朝声を掛けてくれる」「学校を『2人占め』できてうれしい」と、すっかりなじんだ様子だ。

 小規模校の日々はOB、OGが多く暮らす地域に支えられている。地区と合同開催の運動会や、米作り体験など、さまざまな場面でサポートを得る。「卒業生の皆さんからは、自分たちで築いてきた学校という自負が伝わってくる」と、竹下龍二校長(59)。

 そんな思いと重なるように、1~3番はいずれも〈我等のほこり一倉校〉で締められている。今は地域に迎え入れられた2人が受け継ぎ、その部分をひときわ大きな声で歌い続けている。

 ●メモ 1881(明治14)年に喜入小学校の分校として設立され、1947年に独立した。一倉、弓指、小田代の3集落が校区。校歌にある荒平、待人、旧牧はそれぞれの集落にある地名。近年は少人数でも楽しめる音楽活動として、竹太鼓の演奏に力を入れている。

(南日本新聞2024年1月15日付)

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