カツオの腹皮とはマグロでいうトロ。加工するとジューシーかつ弾力ある歯ごたえになる秘密は「手作業」と「天日干し」にあった

2024/09/27 10:00
カツオの腹皮。おかずにも、酒のさかなにもぴったり
カツオの腹皮。おかずにも、酒のさかなにもぴったり
 薩摩の海の玄関口として栄えてきた指宿市山川。古くからカツオの水揚げが盛んだ。最高級のかつお節である本枯節の生産量日本一を誇り、町はカツオをいぶす香りに包まれる。

 腹皮は、脂が最も乗ったカツオの腹身の部分で、マグロでいうトロにあたる。昔はかつお節製造に不要な部分として、近隣で安く販売され、塩焼きなどで消費されていた。

 山川港で水産物加工を手がける七宝篠原商店は、30年ほど前から腹皮の加工に取り組む。機械で作ることが一般的になってきたが、手作業にこだわり、乾燥は全て天日干し。乾燥を重ねて素揚げし、うま味とほどよい塩味をぎゅっと凝縮させる。弾力ある歯ごたえとジューシーな味わいが特長だ。

 3代目の篠原寛法さん(41)は、腹皮の状態を一つ一つ丁寧に確認しながら、最もおいしい瞬間を逃さないよう天日干しする。視線と手さばきは、まさに熟練の職人。その日の天候や湿度、風向きによって干す時間をしっかりと見極め、塩と自然の力のみで、うま味を最大限に引き出す。「皆さんに自然のうま味を味わってもらいたいから、昔ながらの製法にこだわり続けています」

 そのままでももちろん、電子レンジでさっと温めて、七味とマヨネーズを付けてもおいしい。篠原さんの最近のおすすめは、ほぐし身をペペロンチーノに交ぜる食べ方だ。おかずにも、酒のさかなにもぴったり。かむほどにあふれるうま味を堪能あれ。
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■道の駅 山川港 活お海道(いおかいどう)
 地形に由来して「鶴の港」と呼ばれていたことから、鶴が羽を広げた姿をかたどったユニークな施設。連日多くの人でにぎわい、年間40万人以上が訪れる。

 一角に七宝篠原商店の販売所があり、カツオの腹皮「はらみちゃん」やさつま揚げ、すり身がずらり。朝市直売ゾーンでは、カツオやカンパチなどの鮮魚、さつま揚げ、かつお節、農産物など地場産品も豊富だ。

 併設の市場食堂では、地元産の海産物を使った海鮮丼や刺し身、あら汁など、鮮度抜群の海の幸が味わえる。

【住所】指宿市山川金生町1-10[MAP
【電話】0993-27-6507
【営業時間】8:30~17:30 ※市場食堂=11:00~15:00
【駐車場】あり
【休み】第3水曜(祝祭日の場合はその翌日)、1月1・2日

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