「先生」の仕事の魅力を語る鹿児島国際大学の教授ら=鹿児島市中央公民館
「先生って本当に“ヤバい”の?」。こんな刺激的なタイトルのトークイベントが、鹿児島市中央公民館で開かれた。小学校や幼稚園教諭を養成する鹿児島国際大学福祉社会学部児童学科の主催。先生のなり手不足が指摘される中、小中学校や幼稚園で勤務経験がある教授ら3人が魅力を語った。
夏に開いたオープンキャンパスで、保護者の「子どもが先生になって大丈夫なのか」との声を受けて企画した。14日にあった会には県内の中学校や特別支援学校の教員だった中村ますみ教授(62)、小学校校長を務めた鮫島準一特任准教授(68)、幼稚園教諭や保育園長の経験がある丸田愛子准教授(45)が登壇。高校生と保護者など約20人が参加した。
問題点としてまず挙がったのは「負担の大きさ」だ。鮫島特任准教授は「授業の準備より行事担当など校務分掌に時間が取られる現実がある」としつつ、「新規採用の先生をもっと大切にしようという雰囲気が生まれている」「過去の資料を共有するなど効率化も進んでいる」と指摘した。
幼稚園や保育園での保護者対応も話題に上った。丸田准教授は「保護者にはまず事実から適切に伝え、自分の考えや思いは後で話すよう心がけていた」と振り返った。最近は主任や園長が保護者対応を担う園も多いと紹介した。
教員は残業代がないとの声に対し、教授らは「代わりに一律の支給があり、へき地手当など各種手当が充実している」と回答。県内の平均賃金に比べ、教員の給与は上回っていると示し、中村教授は「資格に性別は関係なく、賃金に男女差もない」と訴えた。
3人は、やりがいについてもアピール。鮫島特任准教授は「子どもとの出会いが一番。自分の言葉をきっかけに生き方を決めた生徒もいる」と語り、大人になっても教え子と関係が続いていると報告した。
熊本県水俣市の高校3年生女子は「保育士への思いが強くなった」と笑顔。母親(48)は「報道などでは大変そうで不安だった。やりがいを聞け、大学の雰囲気も分かってよかった」と話した。
◇
教員や保育士のなり手不足深刻
先生のなり手不足は深刻だ。鹿児島県の2025年度公立学校教員等採用試験で、小学校教員の出願者数は採用予定約265人に対し308人で、1次試験の倍率は1.1倍。全ての校種を含めた最終倍率も2.1倍で、1986年以降最低となった。
保育士も売り手市場が続く。県内の有効求人倍率は今年4月時点で2.42倍。全国の全職種平均1.18倍に比べ、不足が際立っている。
鹿児島国際大学福祉社会学部児童学科は、保育士、幼稚園教諭、小学校教員の資格・免許を取得できる。中村ますみ教授によると、人気の学科だったが、24年度は入学者が大きく減った。「先生のハードさだけでなく、魅力も伝えたい。いい意味で若い人が使う“ヤバい”仕事だと思ってもらえたら」と話す。