知りたいのは鹿児島県警による「不祥事の隠蔽があったかどうか」、百条委は今こそ必要なのに…設置決議案否決の議会にも県民の不信は募る

2024/10/10 11:57
最終本会議の行方を見守る傍聴者=9日午後、県議会
最終本会議の行方を見守る傍聴者=9日午後、県議会
 鹿児島県警の不祥事を巡る調査特別委員会(百条委員会)設置を求める決議案が県議会で否決された9日、隠蔽(いんぺい)疑惑を払拭するだけの説明を県警は尽くしておらず納得できないとして、県民からは改めて設置を求める声が上がった。

 傍聴席で結果を見届けた鹿児島市鴨池2丁目の無職女性(72)は「本当は自民党の中にも賛成の人がいるはず。百条委は今必要なのに残念」と悔しそうに語った。

 警察官の相次ぐ性犯罪に危機感を覚え、百条委設置を求める活動を始めた。同日朝は、議会庁舎前の交差点でプラカードを掲げて議員に訴えたが、思いは届かなかった。議会での答弁から「性犯罪への認識が甘く、女性蔑視と感じる」と不祥事隠蔽疑惑の解明とともに県警の意識改革を望む。

 霧島市国分清水3丁目の会社員男性(60)は「県民が知りたいのは不祥事の隠蔽があったかどうか。納得する説明はまだない。このままうやむやにされるのでは」と懸念する。本部長の異動前に百条委を設置すべきとの考えで「何もしなければ県民は議会に不信感を抱く」と憤った。

 鹿児島大学の有馬晋作客員教授(行政学)は「日本の警察は戦後、国が関与しない自治体警察として県民が民主的統制を図る組織になった。その後、中央集権化が図られたが、県民が統制する仕組みは残っている」と指摘する。「警察に対する不信が高まっているとすれば、公安委員会や議会が責務を果たすべきで、百条委を使う選択肢もあり得る」と話した。

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