健康家族 副社長:藤 裕子さん
「伝統にんにく卵黄」で知られる健康家族の副社長を務める。商品開発などを担当すると同時に、大きな目標として取り組むのが「女性が活躍できる、働きやすい職場づくり」だ。
■安心して働ける職場に
祖父の本多荘輔氏が創業した会社に2004年、入社。経理などを経て、現在は全体を統括する。
健康家族は、通信販売の要となるコールセンターを自社で運営。会社全体の女性の割合は7割、管理職も4割を超える。
3人の子どもを育てる藤さんは、自身の体験をもとに、女性にとって魅力的な職場づくりを実践する先頭に立つ。
産休・育休から職場復帰する母親の最大の気がかりは、子どもをどこに預けるかだ。藤さんらの発案で、本社と隣接するビルに託児所を完備。安心して働ける環境は、離職率の低下につながっている。「子どもの体調が急に悪くなっても駆けつけられる。一生働くという心持ちで入社してくれる人も増えた」と喜ぶ。
制度を気持ちよく使えるよう、男女問わず互いの立場を理解する環境の醸成にも心を配る。子育てサポート企業を国が認める「くるみん」認定が次の目標だ。
■築いた信頼が強み
藤さんが心がけるもう一つが、顧客の声に耳を傾けることだ。コールセンターに届いた意見にはすべて目を通す。「気づきや改良につながる点は多い」と話す。
社内外の声から生まれた商品に、薬用美白オールインワン化粧品の「宝石ジェル」がある。看板商品の「伝統にんにく卵黄」は滋養豊富な有精卵を使用するが、卵黄以外は残っていた。そこで卵白を使った「卵白石鹸」を発売したところ好評だったため、コラーゲンなどを含む卵の薄皮(卵殻膜)を活用した新商品の開発につなげた。
発売は4年前。「商品の魅力を丁寧に発信したい」という藤さんの提案で昨年11月から通販番組での紹介を始めると、わずか10カ月で10万個以上もの出荷を記録するヒット商品に育った。「子育て中だけでなく、複数の化粧品を使うのが面倒になってきた高齢層にも喜んでもらっている」と手応えを感じている。
2年後は創業50年。「うちの強みはお客さまとのつながり。築いてきた信頼を大切に、お客さまの要望に基づいた商品開発につなげたい」と決意を語った。
■今後の目標
自社の活動を通して鹿児島、引いては日本の女性活躍の幅を広げたい。女性が社会で活躍し、重要な役割を持つことを当たり前にしていきたい。
■今これに夢中です
「野球のルールを覚えること」
子どもが野球を始めたこともあり、野球のルールを勉強中です。野球に触れる機会があまりなかったため、覚えることもたくさんありますが、いろいろな決まりがあり、奥深さを感じています。
― ◆ ―
■藤 裕子(とう・ゆうこ)さん
熊本県生まれ。鹿児島純心女子高から白百合女子大卒業。大手オフィス機器メーカーを経て、2004年健康家族に入社。新商品開発や戦略営業推進部、カスタマ業務推進部統括などを務める。中1、小3、年長の2男1女を育てる。
フェリア602号(2024/10/19)